Geminiを使う前に知っておきたい注意点
この記事は約9分で読めます
ざっくり言うと
Geminiは、下調べにも文章の下書きにも頼りになります。ただ、たまに自信たっぷりに間違えます。
仕事で使うなら、先に確かめたいことがもうひとつあります。いま、どのGoogleアカウントでログインしているかです。個人のアカウントと会社から配られたアカウントでは、打ち込んだ内容の扱いが変わります。
覚えることは3つです。使っているアカウントを確かめる。答えは自分で裏を取る。見られて困る情報は打ち込まない。
イメージ
正確には
Geminiを仕事で使う前に押さえておきたいことは、大きく5つです。
まず、どのGoogleアカウントで使っているかを見てください
GeminiはGoogleアカウントと紐づいて動きます。同じ画面に見えても、ログインしているアカウントによって会話の扱いが変わります。
確かめ方は簡単です。gemini.google.comを開き、画面右上のアカウントアイコンを押してください。表示されるのが自分の個人アドレスか、会社のドメインのアドレスかを見ます。
個人のGoogleアカウントなら、会話を保存する設定を自分で選べます。設定の名前はKeep Activity(Googleアカウントの画面では「Gemini Apps Activity」と表示されます)です。
オンのあいだは、チャットや共有したファイルなどがアクティビティに保存されます。保存された分がどう扱われるかは、次のとおりです。
- Googleのサービス改善や生成AIモデルのトレーニングに使われる場合がある
- このとき、人が内容を確認することもある
- 人が確認したデータは、アカウントから切り離される
- そのうえで、アクティビティを削除しても最大3年間保持される場合がある
オフにすると、その後のチャットは原則としてモデルのトレーニングに使われません。ただし、フィードバックを送った場合は例外です。また、サービスの提供やフィードバックの処理、安全を守るために、チャットはアカウントとともに72時間保持されます。
仕事の相談と、家族や趣味の相談。この2つは、使うアカウントを分けておくのがおすすめです。
会社のアカウントでは、管理者の設定が先に決まっています
会社や学校のGoogle Workspaceアカウントは、個人向けのGemini Appsと同じ条件だと決めつけないでください。会社・学校のアカウントは、契約しているライセンスで2通りに分かれます。個人アカウントとあわせて整理すると、次のとおりです(2026年7月27日時点)。
履歴のオン・オフや保持期間も、管理者が設定します。つまり、利用者の側では変えられない設定があるということです。
自分の会社の契約がどちらのライセンスにあたるかは、社内の管理者に確認してください。窓口は、情報システムの担当者や、Google Workspaceの管理コンソールを触っている人です。「Gemini Appsは、うちではコアサービス扱いですか、追加サービス扱いですか」と聞けば伝わります。
設定や保持期間の仕様は、アップデートで変わります。使い始める前に、記事の最後の「参考ソース」の公式ページも見ておいてください。
自信たっぷりに、事実と違うことを書くときがあります
AIがこういう間違いをすることを、ハルシネーションと言います。
Google自身も公式ヘルプで同じことを伝えています。Gemini Appsはハルシネーションを起こし、不正確な情報を事実のように提示することがある、という説明です。
文章のほうは自然に整っているので、間違いに気づきにくいんですよね。とくに危ないのは、次の3つです。
- 人名・会社名・部署名。実在しない人や肩書きを作り出します
- 金額・件数・日付。もっともらしい数字を作って返してきます
- 法律の条文やURL。実際には存在しないものを、堂々と示してきます
見積書に載せる金額、社外へ送る文書の会社名。こういうものは、発表元の公式ページを開いて自分の目で確かめてください。
Geminiには「回答をダブルチェック」(英語表示ではDouble-check response)という機能もあります。Google検索を使って、回答に近い内容がWeb上にあるかを色付きで照らし合わせてくれます。
ただしGoogle公式も、この機能ですべての部分を検証できるわけではない、と注記しています。色がついたところだけを見て安心せず、大事な数字は元のページまで開きましょう。
専門的な判断は、最後に専門家へ相談してください
Google公式ヘルプには、Gemini Appsの回答を「診断・治療・医療・法律・金融・その他の専門的助言として頼らないでください」と明記されています。
Geminiは法律や医療、税務の質問にも、それらしい答えを返してくれます。予習や整理には十分使えますが、決め手にはしないでください。
Googleアカウントを守ることが、そのままGeminiを守ることになります
同じGoogleアカウントで、GmailもGoogleドライブもGoogleカレンダーも使っています。乗っ取られると被害が広がりやすいので、ふだん以上にしっかり守りましょう。
- パスワードは他のサービスと使い回さない
- Googleアカウントの設定から、2段階認証プロセスを有効にする
- 共用のパソコンを使ったら、席を立つ前にログアウトする
- 個人アカウントの過去のチャット履歴には個人情報が残ることがあるので、必要なら「Gemini Apps Activity」から定期的に整理する
- 会社・学校アカウントでは管理者の設定が優先され、利用者が削除できない場合がある
注意点
打ち込まないものを、設定より先に決めておきましょう
Gemに書いた指示と資料は、そのGemに残り続けます
Geminiには、自分専用のアシスタントを作るGemsという機能があります。名前と指示を決めて保存しておくだけで、毎回同じ前置きを打たずに済むしくみです。作り方はGeminiのGems(自分専用AI)を作る入門にまとめてあります。
便利なぶん、気をつけたいことがあります。チャットは消せますが、Gemに書いた指示と添えた資料は、そのGemの中に残り続けます。
- 指示文に、顧客名や社外秘の固有名詞を書き込まない
- Gemの内容は自分のアカウントに保存されるが、保存の範囲や取り扱いはプランやポリシーで変わる
- Gemを共有すると、アクセス権を持つ相手はGemの指示とアップロード済みのファイルを見られる
- 編集権限を渡した相手は、そのGemの変更や削除もできる
社内の誰かに渡す前に、添えた資料と渡す権限を必ず見直してください。
出てきた文章を、そのまま公開する前に
自社のブログや商用の制作物に載せるなら、著作権まわりも一度だけ見ておきましょう。
- 出てきた文章が、どこかの記事とそっくりになっていないか読み比べる
- 他の人の文章を貼って「要約して」と頼んだときも、著作権はその書き手のもの。そのまま公開してよいという意味ではない
- 商用利用や再配布の条件はプランや規約で変わるので、公開する時点の利用規約をGoogleの公式ページで確かめる
やってみよう
取引先への案内メールを、下書きしてもらう流れ
事務の仕事で使うなら、順番を決めておくと安心です。たとえば、案内メールの文面を整えてもらうときはこうします。
- 右上のアカウントアイコンを押して、会社のアドレスでログインしているかを見る
- Googleドライブにある案内文のたたき台を開き、会社名と金額を「〇〇」に置き換えてコピーする
- その文面を貼って、「社外向けの丁寧な案内に整えて」と頼む
- 返ってきた文章をGoogleドキュメントに貼り、「〇〇」の部分を自分の手で埋める
会社名と金額は、最後に自分で入れる。この順番なら、うっかり打ち込む事故が起きません。
締めに
並べてみると多く見えますが、かまえる必要はありません。
最初にやることは、右上のアカウントアイコンを1回押して、いま使っているアドレスを見るだけです。あとは、見られて困る情報を打ち込まない。答えは自分で確かめる。これだけで、Geminiは毎日の事務仕事をぐっと楽にしてくれます。
よくある質問
- Q. Geminiで、いまどのGoogleアカウントを使っているかはどこで分かりますか?
- A. gemini.google.comを開いて、画面右上のアカウントアイコンを押してください。表示されるのが自分の個人アドレスか、会社のドメインのアドレスかで見分けられます。
- Q. Geminiの「回答をダブルチェック」を使えば、内容は確かめられますか?
- A. 完全ではありません。Google検索で近い内容がWeb上にあるかを照らし合わせる機能で、公式もすべての部分は検証できないと注記しています。大事な数字は元のページまで開いて確かめてください。
- Q. Geminiに法律や税務のことを相談してもいいですか?
- A. 予習や整理には使えますが、決め手にはしないでください。Google公式ヘルプは、回答を診断・治療・医療・法律・金融その他の専門的助言として頼らないよう明記しています。
- Q. Geminiの自分専用AI(Gems)に、顧客名や社外秘の資料を入れても大丈夫ですか?
- A. おすすめしません。チャットは消せますが、Gemに書いた指示と添えた資料はそのGemの中に残り続けます。共有すると、アクセス権を持つ相手が指示とアップロード済みのファイルを見られます。
公開: 更新: ✓ 公式情報と照合:
参考ソース
- Google公式 - Gemini(公式情報)
- Gemini Apps Help - Learn about responses from Gemini Apps(公式情報)
- Gemini Apps Help - Gemini Apps Privacy Hub(公式情報)
- Gemini Apps Help - View related sources & double-check responses from Gemini Apps(公式情報)
- Gemini Apps Help - Use Gemini Apps with a work or school account(公式情報)
- Google Workspace - Generative AI Security, Compliance and Privacy(公式情報)
- Gemini Apps Help - Get started with Gems in Gemini Apps(公式情報)
- Gemini Apps Help - Share a Gem from Gemini Apps(公式情報)
この教科書は無料で全文公開しています。仕事で使えるところまで進みたい方は、実習と資料がそろった生徒プランをどうぞ。
あわせて読みたい
- ChatGPT | はじめに知っておくこと約9分
ChatGPTを使う前に知っておきたい注意点
ChatGPTを使い始める前に押さえておきたい注意点を、初心者向けにやさしくまとめました。もっともらしい間違い(ハルシネーション)、打ち込んだ情報の扱い、覚えられたくない話の逃がし方、専門的な判断、アカウントの守り方までを順に説明します。内容を見る - Claude | はじめに知っておくこと約9分
Claudeを使う前に知っておきたい注意点
Claudeを使い始める前に押さえておきたいことをまとめました。もっともらしい間違い、貼った情報の扱い、指示欄に書いてよいこと、共有したプロジェクトで相手に見える範囲まで説明します。内容を見る - AI基礎 | AIってそもそも何?約7分
AI とどう付き合えばいい?(共存の考え方)
AIで仕事はどう変わり、何を身につければいいのか。自転車修理店の受付メモや家族の予定を例に、AIに任せる作業と自分で決めることの分け方を説明します。1週間だけ安全に試す手順つきです。内容を見る - AI基礎 | 使う前に知っておくこと約8分
ハルシネーションを減らす5つのコツ
AIが事実と違うことを書いてしまうハルシネーションは、頼み方を変えるだけでかなり減らせます。出典を頼む、観点を伝える、作業を分ける、分からないときの答え方を決める、引用と根拠を照らし合わせる。この5つを、直す前と直したあとの例で説明します。内容を見る