ざっくり言うと

ハルシネーションとは、AIが事実と違う内容を、もっともらしい文章で書いてしまうことです。

聞き方を整えるだけで、かなり起こりにくくできます。コツは5つです。

  1. 出典もいっしょに書いてもらう
  2. どの観点で見てほしいかを伝える
  3. 大きな依頼は、手順に分けて頼む
  4. 分からないときの答え方を決めておく
  5. 引用を先に出させて、あとで主張と突き合わせる

ただし、どれも正解を保証してくれるものではありません。最後に確かめるのは、やはり人の役目です。

ハルシネーションとは、自信ありげな文章で事実と違うことを書く現象です。ここでは、頼み方を変えて減らす方法に絞ります。

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正確には

公式ガイドの考え方を5つにまとめる

OpenAI、Anthropic、Googleの公式ガイドが案内している考え方を、はじめての方でも使える形で5つにまとめました。

#コツやること期待できること
1出典を頼む「出典のURLも併記して」と最初に伝える根拠を自分で確かめやすくなる
2観点を伝える「契約書を見る観点で」「税務の注意点として」と、見る角度を指定する答えの範囲を絞りやすくなる
3手順に分ける大きな依頼を小さな段階に分ける途中の抜けや誤りを確認しやすくなる
4答え方を決める「確証がなければ確認できないと答えて」と書き添える知らないことを作り話で埋めにくくなる
5引用と根拠を照らす資料から根拠を先に抜き出させ、答えたあとに主張と突き合わせさせる根拠のない断定を見つけやすくなる

Anthropicの公式ガイド「Reduce hallucinations」は、次のような対策を挙げています。

  • 分からないときは「分かりません」と答えていい、と許可する(原文では "I don't know")
  • 資料から直接引用を抜き出してから、答えてもらう
  • 答えに付いた引用が、その主張を支えているかを検証してもらう

OpenAIは、必要な材料と指示をはっきり伝える方法を案内しています。Googleはそれに加えて、複雑な作業を分ける方法もすすめています。

使う場面

コツ1: 出典もいっしょに書いてもらう

もとの頼み方:

個人事業主の経費に計上できるものを教えて

直したあとの頼み方:

個人事業主の経費に計上できるものを教えてください。根拠となる公的サイトのURL(国税庁など)を併記してください。確認できない情報は「出典不明」と明記してください。

「出典不明」と書くルールを決めておくと、確かめていない情報がひと目で分かります。

ただし、AIは存在しないURLを書いてくることもあります。示されたページは自分で開いて、本文まで確かめてください。

コツ2: どの観点で見てほしいかを伝える

もとの頼み方:

契約書の文面、これでいい?

直したあとの頼み方:

中小企業の取引契約で確認されやすい観点に沿って、私が貼り付ける文面の注意点を3つまで指摘してください。

どんな立場で、どこを見てほしいのかを伝えると、AIは使う言葉とチェックの方向を絞れます。おかげで、話の脱線や、それっぽいだけの一般論が減ります。

ただし、資格の名前を出しても、AIが本物の専門家になるわけではありません。契約・税務・医療などの最終判断は、専門家や一次情報に戻してください。

コツ3: 大きな依頼は、手順に分けて頼む

もとの頼み方:

新サービスのLPの構成案を作って、キャッチコピーも考えて、料金プランも提案して

直したあとの頼み方:

以下を1ステップずつ進めてください。各ステップ終了後、私が「次へ」と言うまで止まってください。

  1. ターゲット顧客の整理
  2. LPの構成案(セクション見出しのみ)
  3. 各セクションの本文
  4. キャッチコピー候補3つ
  5. 料金プラン案

一度にまとめて頼むと、途中の失敗に気づけません。

小さく分けておけば、段階ごとに抜けや誤りを確認できます。完成品をいきなり求めるより、途中で直すほうがずっと楽です。

コツ4:分からないときの答え方を決めておく

もとの頼み方:

2024年の○○の制度改正について教えて

直したあとの頼み方:

2024年の○○の制度改正について教えてください。確証がない情報は答えず、「確認できませんでした」と回答してください。出典が出せる範囲だけで結構です。

「分からないと言っていい」とはっきり許可すると、作り話で埋めた答えが減ります。

Anthropicの公式ガイドも、AIに逃げ道を与えることを独立した項目として挙げています(原文の見出しは「Give Claude an "out"」)。

コツ5: 引用を先に出させて、あとで突き合わせる

もとの頼み方:

添付した調査報告書を読んで、重要な傾向をまとめて

直したあとの頼み方:

添付した調査報告書だけを使ってください。まず、重要な主張を支える箇所を原文のまま引用し、ページ番号や見出しを添えてください。次に、その引用だけを根拠として要点をまとめてください。回答後、主張ごとに引用が根拠になっているか再確認し、根拠がないものは「確認できない」と明記してください。

先に引用を出してもらうと、答えが資料のどこに基づいているのかを確かめやすくなります。

答えたあとの照合まで頼めば、「引用はあるけれど、その主張までは支えていない」というズレにも気づけます。

とはいえ、引用そのものが正しいとはかぎりません。大事なところは原文を開いて、自分の目で見てください。

Temperatureを下げても、正しくはなりません

Temperatureは、対応しているモデルで、答えの再現性や言葉選びのばらつきを調整する設定です。低くすると似た答えが出やすくなりますが、事実が正しくなるわけではありません。

GoogleはGemini 3系について、既定値のまま使うことをすすめています。値を下げると、かえって思わぬ動きになる場合があると案内しています。

また、Claude Sonnet 5のように、既定以外のtemperatureを受け付けないモデルもあります。指定すると400エラーです。設定を変えるときは、使うモデルの公式仕様を確かめてください。

つまり、この設定はハルシネーション対策の代わりにはなりません。まずは5つのコツと、人の目による確認を優先しましょう。

Web検索が使えるなら、いっしょに使う

使っているサービスにWeb検索の機能があれば、事実を確かめたい依頼で併用できます。画面の表記や使える条件は変わるため、使う時点の公式案内を見てください。

事実確認が必要なときは、「Webを検索して、根拠URLを併記して回答してください」と一文添えてみましょう。AIの中の記憶だけに頼らず、検索した時点の情報をもとに答えてもらいやすくなります。

ただし、URLや引用の中身が間違っていることもあります。大事な情報は、リンク先を自分で開いて確かめてください。

注意点

やってみよう

次は、AIの答えそのものを確かめる記事「ファクトチェックの基本」へ進むのがおすすめです。