ChatGPTを使う前に知っておきたい注意点
この記事は約9分で読めます
ざっくり言うと
ChatGPTはとても頼りになります。ただ、たまに自信たっぷりに事実と違うことを書きます。
打ち込んだ内容の扱いは設定で変わりますし、話した前提をそのまま覚えていることもあります。
頭に置いておくのは3つだけです。全部は信じない。大事な情報は貼らない。最後に決めるのは自分。ここさえ押さえれば、安心して使い始められます!
イメージ
正確には
使う前に押さえておきたいのは、次の6つです。最後に、できた文章を公開するときの確認もひとつ添えます。
自信たっぷりに間違えることがあります
ハルシネーションとは、AIが事実と違うことを、自然な文章のまま書いてしまう現象です。OpenAIの公式ヘルプにも、ChatGPTは誤った情報や偏った情報を作ることがある、と書かれています。
やっかいなのは、文章そのものは整っている点です。読んでいて引っかからないので、間違いに気づけません。
とくに危ないのは次の3つです。
- 人名・会社名などの固有名詞。いない人や、ない肩書きを作ります
- 数字・統計・日付。それらしい値をその場でこしらえます
- 法律の条文・URL・引用元。存在しないものを堂々と書きます
たとえば、お店のチラシに載せる食品表示のきまりを、ChatGPTにまとめてもらったとします。条文の番号まで並んでいると、つい信じたくなりますよね。数字・固有名詞・引用を使う前には、発表元の公式サイトまで戻って必ず自分で確かめてください。
打ち込んだ内容の扱いは、プランと設定で変わります
OpenAIのヘルプセンターには「Data Controls(データの扱い)」という設定項目があり、自分でオン・オフを切り替えられます。ただし、切り替えられる範囲も、その方法も、対象になるものもプランごとに違います。いまの自分がどうなっているかは、記事の最後の「参考ソース」の公式ヘルプで確かめてください。
話した前提を、ChatGPTが覚えていることがあります
ChatGPTにはMemory(メモリ)という仕組みがあります。公式ヘルプによると、Memoryがオンのとき、ChatGPTはチャット・ファイル・接続したアプリなどの文脈から役に立つ前提を拾い、次の回答に反映します。
拾ってくる先は、大きく3つです。
- Saved memories(保存された記憶)
「覚えておいて」と頼んだ内容と、ChatGPTが役立つと判断した内容です - Past chats(過去の会話)
以前のやり取りから、好みや前提を読み取る場合があります - Files / connected apps(ファイルと接続アプリ):プランや地域、接続の状態によっては、Libraryのファイルや接続したアプリの情報も参照されます
どの情報が使われたのかを画面で確かめられる場合もありますが、毎回すべてが見えるわけではありません。だからこそ、いま何を覚えているのかを一度のぞいておきましょう。入口はここです。
- 画面左下のアカウント名から
Settings(設定)を開きます MemoryまたはPersonalizationの周辺を選びますManage memoriesやMemory summaryを開くと、保存・参照されている内容を確認できます- 古いものや的外れなものは、その場で1件ずつ消せます
日本語表示のときは「設定 > メモリ」「設定 > パーソナライズ > メモリ」のような並びを探してください。会話の途中で「さっきの○○は忘れて」と伝えて消すこともできます。
会社やお店の契約で使っている場合は、自分の設定だけでは決まりません。公式ヘルプによると、Business・Enterprise・Eduなどでは、Memoryやパーソナライズ機能を使えるかどうかを、ワークスペースの所有者や管理者が決められる場合があります。個人向けのプランでも、画面に出る項目はプラン・地域・展開状況で変わります。
覚えられたくない話は、どこへ逃がすか
Memoryは、話の中身を選びません。お客さまの名前も、まだ言えない移転の計画も、同じように書き留められることがあります。
そこで、次に当てはまる人は、いったんオフから始めるほうが落ち着いて使えます。
- 顧客名や社外秘、個人情報を口にすることが多い人
- 家族や従業員とアカウントを共有している人
オフにしても、必要になればいつでもオンに戻せます。まとめて止めたいときは、Memory summary の周辺に、記憶の削除とMemoryのオフをまとめて行う入口が出ることがあります。押す前に、それが1件だけの削除なのか、Memory全体のオフなのかを確かめてください。
会話ごとに切り分けたいなら、Temporary Chat(一時チャット)が向いています。公式ヘルプによると、Temporary Chatでは既存のMemoryが参照されず、その会話が新しいMemoryとして保存されることもありません。
- 新しいチャットの画面で Temporary Chat(一時チャット) を選びます
- そのまま相談します
- 終わったら閉じれば大丈夫です
Memory全体を止めなくても、この会話だけを切り離せます。オンとオフのどちらが自分に向いているかは、ChatGPTのMemory機能ってなに?でくわしく比べています。
法律・医療・税務は、最後に専門家へ
ChatGPTは法律や医療、税務の質問にも、それらしい答えを返します。予習や下調べには役立ちますが、最終の判断には使わないでください。
- 契約書のチェックやトラブル対応は、弁護士・行政書士へ
- 症状や薬の相談は、医師・薬剤師へ
- 申告や節税は、税理士へ
- 投資の判断は、ファイナンシャルプランナーなどへ
下書き・整理・予習まではChatGPT、決めるのは人間。この分担が使い分けのコツです。
2026年7月23日に発表されたHealth in ChatGPTは、米国の18歳以上の対象ユーザーが使える機能です。自分の医療記録やApple Healthをつないで、情報を整理できます。それでも診断・治療の代わりにはなりません。一般消費者向けのHealthは、医療機関などの臨床利用に向けたものでもありません。
Healthを使った会話も、Memoryがオンなら記憶が作られることがあります。健康の相談を残したくないときは、Temporary Chatを使うか、Memoryをオフにしてください。顧客・従業員・家族など、本人以外の健康情報を普通のチャットへ貼らない。この原則は、Healthが使えるようになっても変わりません。
アカウントとログインの守り方
ChatGPTは自分のアカウントを作って使うので、ほかのWebサービスと同じ用心がいります。押さえたいのは次の4つです。
- パスワードは、ほかのサービスと使い回さない
- 二段階認証(2FA。パスワードに加えて確認コードなどを使う仕組み)は、できれば有効にする
- 共用のパソコンなら、席を離れる前に必ずログアウトする
- 過去のチャット履歴には個人情報が残ることがあるので、ときどき見直して整理する
お店で1つのアカウントを回しているなら、履歴もMemoryも、そのアカウントを開いた人全員に見えます。スタッフと共有するなら、私用の相談はここに書かない、と最初に決めておきましょう。
できた文章を公開する前に
ブログやチラシ、商用の制作物に載せるなら、次の3点だけ確かめてください。
- 世に出ている文章とそっくりな出力になっていないか、軽く読み比べる
- 他の人が書いた文章を貼って「要約して」と頼んでも、元の著作権は書いた人のものです。出力をそのまま公開してよいわけではありません
- 商用利用や再配布の細かいルールはプランや規約で変わるので、OpenAIの最新の利用規約を見ておく
注意点
やってみよう
締めに
注意点を6つ並べましたが、身構えなくて大丈夫です。全部は信じない、大事な情報は貼らない、最後に決めるのは自分。この3つを覚えておけば、ChatGPTは毎日の仕事をぐっと軽くしてくれる相談相手になります。
そのうえで、ChatGPTならではの点を最後にもう一度だけお伝えします。この道具は、話した前提を覚えていることがあります。今日のいちばん小さな一歩は、Settings から Manage memories を開いて、何が残っているかをのぞいてみることです。
よくある質問
- Q. ChatGPTの答えで、とくに気をつけたほうがよいのはどこですか?
- A. 人名や会社名などの固有名詞、数字・統計・日付、法律の条文やURL・引用元です。存在しないものを自然な文章のまま書くことがあるので、使う前に発表元の公式サイトで確かめてください。
- Q. ChatGPTは、前に話した内容を覚えているのですか?
- A. Memoryがオンのときは、チャットやファイル、接続したアプリなどから役に立つ前提を拾い、次の回答に反映します。何が残っているかは、設定のMemoryやPersonalizationにあるManage memoriesで確認でき、1件ずつ消せます。
- Q. ChatGPTに覚えられたくない相談は、どうすればよいですか?
- A. Temporary Chat(一時チャット)を使ってください。公式ヘルプによると、既存のMemoryが参照されず、その会話が新しいMemoryとして保存されることもありません。顧客名や社外秘を話すことが多い人は、Memoryをオフから始める手もあります。
- Q. AIで作った文章を、そのままブログやチラシに載せてよいですか?
- A. 載せる前に3点を確かめてください。世に出ている文章とそっくりになっていないか。他の人が書いた文章を要約させても、元の著作権は書いた人のものです。商用利用や再配布のルールは、プランや規約で変わります。
公開: 更新: ✓ 公式情報と照合:
参考ソース
- OpenAI公式 - ChatGPT(公式情報)
- OpenAI Help Center - Why does ChatGPT generate incorrect or biased information?(公式情報)
- OpenAI Help Center - Data Controls FAQ(公式情報)
- OpenAI Help Center - Health in ChatGPT(公式情報)
- OpenAI - Launching Health in ChatGPT(公式情報)
- OpenAI Help Center - What is Memory?(公式情報)
- OpenAI Help Center - Memory FAQ(公式情報)
- OpenAI Help Center - Memory FAQ (Business Version)(公式情報)
この教科書は無料で全文公開しています。仕事で使えるところまで進みたい方は、実習と資料がそろった生徒プランをどうぞ。
あわせて読みたい
- Claude | はじめに知っておくこと約9分
Claudeを使う前に知っておきたい注意点
Claudeを使い始める前に押さえておきたいことをまとめました。もっともらしい間違い、貼った情報の扱い、指示欄に書いてよいこと、共有したプロジェクトで相手に見える範囲まで説明します。内容を見る - Gemini | はじめに知っておくこと約9分
Geminiを使う前に知っておきたい注意点
Geminiを仕事で使う前に確かめたいことをまとめました。個人のGoogleアカウントと会社のWorkspaceで変わる会話の扱い、ハルシネーションの裏取り、打ち込まない情報、専門家に任せる線引きを解説します。内容を見る - AI基礎 | AIってそもそも何?約7分
AI とどう付き合えばいい?(共存の考え方)
AIで仕事はどう変わり、何を身につければいいのか。自転車修理店の受付メモや家族の予定を例に、AIに任せる作業と自分で決めることの分け方を説明します。1週間だけ安全に試す手順つきです。内容を見る - AI基礎 | 使う前に知っておくこと約8分
ハルシネーションを減らす5つのコツ
AIが事実と違うことを書いてしまうハルシネーションは、頼み方を変えるだけでかなり減らせます。出典を頼む、観点を伝える、作業を分ける、分からないときの答え方を決める、引用と根拠を照らし合わせる。この5つを、直す前と直したあとの例で説明します。内容を見る