Claudeにメール、契約書、議事録、コードなどを渡していると、うっかり顧客名や社外秘まで貼ってしまいそうになることがあります。
Claudeを使うときの情報漏えい対策を、2026年10月6日に確認したAnthropicの公式情報に沿って整理します。
最初に結論を言うと、いちばん大事なのは、設定を見直す前に、不要な機密情報を送らないことです。
そのうえで、
- 名前や金額を伏せる
- 個人向けClaudeのモデル改善設定を確認する
- 履歴を残したくない会話はIncognito chatを使う
- Team・Enterpriseでは組織の管理ルールも確認する
- コネクタやMCPで連携するサービスのアクセス権を確認する
- APIキーなどの認証情報は絶対に貼らない
という順で対策すると、かなり整理しやすくなります。
ざっくり言うと
| 気をつけること | まずやること |
|---|---|
| 顧客名・住所・メールアドレス | 「顧客A」「担当者B」などへ置き換える |
| 契約書・見積書 | 相手名、金額、口座、未公開条件を必要に応じて伏せる |
| 個人向けClaudeのモデル改善 | Settings→Privacyで設定を確認する |
| 履歴を残したくない会話 | Incognito chatを使う |
| Team・Enterprise | 組織の保持設定・管理者権限も確認する |
| Google Driveなどのコネクタ | 必要な権限だけにし、不要なら接続を外す |
| APIキー・パスワード | Claudeへ貼らない。漏れた疑いがあればすぐ無効化する |
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取引先へのメールを直すなら、実名や電話番号を「担当者B」「[電話番号]」に置き換えても相談できます。文章の確認に必要な部分を残し、送らなくてよい情報を先に減らしましょう。
正確には
1. 「情報漏えい」と「モデル学習」は同じではない
Claudeの情報管理を考えるとき、よくある勘違いが、
学習に使われなければ、機密情報を入れても大丈夫
と考えてしまうことです。
実際には、次の4つを分けて考える必要があります。
- Claudeへ何を送るか
- 会話やファイルがどれくらい保存されるか
- モデル改善・学習に使われるか
- 組織や接続先のサービスから誰がアクセスできるか
たとえば、モデル改善をオフにしていても、会話をサービス提供のために一定期間保存することはあります。
Team・Enterpriseでは、Anthropicがモデル学習に使わなくても、組織のOwner(管理者)が組織データを管理・書き出せる場合があります。
Google DriveやMCPを接続すれば、Claudeがそのサービスへアクセスできる範囲も増えます。
そのため、最初の防御は設定ではなく、送る情報そのものを減らすことです。
2. そのまま貼らないほうがいい情報
Claudeへ送信する前に、次のような情報が混ざっていないか確認します。
個人を特定できる情報
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 生年月日や顧客番号
- 口座情報や本人確認書類の情報
会社の未公開情報
- 未発表の売上、原価、利益率
- 新商品の仕様
- M&Aや資金調達の情報
- 公開前の企画
- 社内の人事評価や給与情報
- 顧客との未公開契約
認証情報
- パスワード
- APIキー(外部サービスを使うための認証用の鍵)
- アクセストークン(アクセス権を示す認証情報)
- 秘密鍵
- セッション情報
- 復旧コード
特に認証情報は、「学習させない設定だから貼ってよい」という種類の情報ではありません。
Anthropicも、APIキーをパスワードやクレジットカード番号と同じような機密情報として扱い、共有しないよう案内しています。
3. まずは仮名化・伏字で相談できないか考える
Claudeに相談したいのは、文章や構造、問題点であって、実名そのものではない場合が多くあります。
たとえば、
株式会社サンプル→A社田中太郎→担当者Xhoshino@example.com→[メールアドレス]月額1,280,000円→[月額金額]- 実際のAPIキー →
[API_KEY]
のように置き換えます。
例:メールを添削してもらう場合
氏名や社名を伏せても、文章の添削にはほとんど支障がありません。次は架空のメールを使った例です。
以下は取引先へのメールです。
会社名・担当者名は仮名にしています。
内容と敬語だけ確認してください。
A社
担当者Bさま
先日はお打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました。
ご相談いただいた資料は、来週月曜日までにお送りします。
引き続きよろしくお願いいたします。
例:契約書を確認する場合
契約書全体をそのまま渡す必要がない場合は、
会社名、担当者名、住所、金額などは伏せています。 以下の条項について、意味が分かりにくい部分を整理してください。
として、必要な部分だけ渡します。
Claudeに必要なのは「相談に必要な情報」であって、「元資料に含まれる情報すべて」ではありません。
4. 個人向けClaudeではモデル改善の設定を確認する
Claude Free・Pro・Maxなどの個人向け製品では、Claudeとのチャットやコーディングセッションをモデル改善に使うかどうかを設定できます。
2026年10月6日に確認した公式の設定手順です。画面は変わるため、操作前に最新の案内を確認してください。
- Claudeのアカウントメニューを開く
- Settings(設定)を選ぶ
- Privacy(プライバシー)を選ぶ
- Help Improve our AI models(モデル改善に協力する)をオフにする
モデル改善をオフにすると、Anthropicは新しいチャットやコーディングセッションを将来のモデル学習に使わないと案内しています。
また、以前保存されていたチャットについても、今後のモデル学習実行では使わないと説明されています。
ただし、すでに始まった学習処理や学習済みのモデルまでは取り消せません。安全性確認や、フィードバック送信にも別の扱いがあります。
安全性のために扱われる場合は別
Anthropicの安全システムによって会話がフラグ付けされた場合は、モデル改善設定をオフにしていても、ポリシー違反の検出や安全性研究などに利用・分析される場合があります。
つまり、
「モデル改善OFF=どんな場合でも一切処理されない」ではありません。
5. 「学習しない」と「保存しない」も別
モデル改善をオフにしても、通常のチャットがその瞬間にすべて消えるわけではありません。
2026年10月6日時点の公式保存期間の案内では、個人向けの会話を削除すると次のように扱われます。
- チャット履歴からはすぐに消える
- サーバーの保存システムからは通常30日以内に削除される
一方、モデル改善への利用を許可した場合、新規または再開したチャットやコーディングセッションが、モデル学習の処理に使うデータとして最長5年間保持される場合があります。
また、安全システムが利用ポリシー違反と判定した場合は、入力・出力を最長2年間保持します。安全性の分類スコアは、最長7年間です。
法令対応や紛争解決などで、さらに保持する場合もあります。削除前に公式の保存期間で条件を確認しましょう。
そのため、
履歴から消したから、すべてのデータが即時に完全消去された
とは考えないほうが安全です。
6. 履歴を残したくないときはIncognito chat
Claudeには、履歴に残さない一時的な会話をするIncognito chatがあります。
2026年10月6日時点の公式ヘルプでは、Free・Pro・Max・Team・Enterpriseで利用できます。
Incognito chatでは、
- 通常のチャット履歴に保存されない
- Claudeのメモリに保存されない
- モデル改善には使われない
という特徴があります。
ただし、完全に保存されない機能ではありません。
Anthropicは、安全性のためIncognito chatを標準で30日間保持すると案内しています。Enterpriseでは、組織側の独自の保持設定により、さらに長くなる場合があります。
Incognitoは「会社の管理者に隠す機能」ではない
Team・Enterpriseでは、Incognito chatも、
- 組織のデータ書き出し
- EnterpriseのCompliance API(組織の監査向けにデータを取得する仕組み)
の対象になります。
つまり、
会社アカウントでIncognitoを使えば管理者から見えなくなる、という意味ではありません。
会社で使う場合は、Claude側の機能より社内ルール・契約・組織設定を優先します。
Projectの中では使えない
Incognito chatは、Project(資料をまとめるプロジェクト)の外で始める新しい会話に使います。画面右上のゴーストアイコンで切り替えてください。
閉じた会話は開き直せません。新しいClaudeの画面でも旧画面で開くため、ファイル作成やコード実行はできません。使う前に最新の手順と制限を確認しましょう。
機密性の高い情報をわざわざProjectへ保存してからIncognitoに切り替える、という使い方はできません。
7. Team・Enterprise・APIは「デフォルトで学習しない」
Claude for WorkやAnthropic APIなどの商用製品では、Anthropicは入力と出力をデフォルトではモデル学習に使わないと案内しています。
2026年10月6日時点の商用製品の公式案内で確認しました。利用前には、所属先の契約と最新の条件も確認してください。
ただし、例外があります。
フィードバックを送った場合
評価ボタン(高評価・低評価)などで明示的にフィードバックを送ると、その関連会話が保存され、モデル改善に利用される場合があります。
Anthropicは、フィードバックに関連するデータを最長5年間保存する場合があると案内しています。
この扱いは個人向けClaudeにもあります。機密情報を含む会話では、評価ボタンを押す前に送信内容を確認してください。
組織の管理者がデータを管理する
Team・Enterpriseでは、組織のPrimary Owner(主管理者)などが組織データを管理します。
公式の組織データ管理の案内では、主管理者が次のデータを取得できる場合があります。
- 会話
- アップロードしたファイル
- 利用状況
「Anthropicが学習しない」と「社内の誰からも見えない」は別です。
8. Google Drive・Gmail・MCPなどのコネクタも確認する
Claudeは、コネクタ(外部サービスとの接続機能)でGoogle Driveなどのデータを扱えます。MCPは、AIと外部の道具をつなぐための共通の仕組みです。
便利ですが、コネクタを追加することは、Claudeへ外部サービスにアクセスする権限を追加することでもあります。
Google Workspaceコネクタ
2026年10月6日時点のGoogle Workspaceコネクタの公式ヘルプでは、次の扱いです。
- 接続したGoogleアカウントの権限を引き継ぐ
- 必要な質問・操作のときにデータへアクセスする
- 取得したデータは関連するチャットとともにAnthropicのサーバーへ保存される
- Google Workspaceコネクタのデータはモデル学習には使わない
ここでも、
「学習に使わない」=「Claude側に一切保存されない」ではありません。
また、取得内容やその内容を含む回答を会話へコピーした場合は例外です。個人向けでモデル改善を許可していれば、その部分が学習に使われる場合があります。
接続前には、最新の保存・学習条件を確認してください。
不要になったチャットを削除し、もう使わないコネクタは接続自体を外します。
カスタムコネクタ・MCP
カスタムコネクタの公式ヘルプでは、未検証のサービスへ接続できると説明しています。
接続すると、Claudeは付与された権限に応じて、
- データを読む
- データを取得する
- 場合によっては書き込む・変更する
ことができます。
「便利そうだから全部許可」ではなく、
何を読めるか・何を書けるか・誰が運営しているか
を確認してから接続します。
9. APIキー・パスワードはClaudeへ貼らない
開発中に特に注意したいのが、APIキーやトークンです。
たとえばエラー相談をするときに、
ANTHROPIC_API_KEY=[ここに実際のキーが入っている状態]
のような実物のキーをそのまま貼る必要はありません。
ANTHROPIC_API_KEY=[REDACTED]
のように置き換えます。
公式のAPIキー管理の案内では、次をすすめています。
- 他人と共有しない
- 公開リポジトリへ入れない
- コードや設定ファイルへ直接書かない
- 環境変数や、秘密情報を安全に保管する管理ツールを使う
APIキーを貼ってしまった場合
公式ヘルプは、漏れた疑いのあるキーを直ちに無効化するよう案内しています。
Claude Consoleで該当キーを削除し、新しいキーを作成します。
チャットを削除するだけでは、すでに見られた可能性のある認証情報そのものは無効になりません。
漏れた認証情報は、会話を消すだけでなく、無効化・変更してください。10. うっかり機密情報を送ってしまったとき
送信後に気づいた場合は、情報の種類で対応を分けます。
普通のチャットへ個人情報を貼った
- 必要なら会話を削除する
- 今後のモデル改善設定を確認する
- 業務情報なら、自社の情報管理ルールに従う
削除したチャットは履歴からすぐ消え、通常30日以内にバックエンドから削除されます。
パスワードを貼った
チャット削除だけで終わらせず、パスワードを変更してください。
同じパスワードを他でも使っている場合は、そちらも変更してください。
APIキーやトークンを貼った
すぐに失効させ、新しいものを発行してください。
その後、利用履歴や不審な課金がないか確認しましょう。
顧客情報・社外秘を送った
自分だけで「消したから大丈夫」と判断せず、会社や案件のルールに従って対応します。
情報の種類や契約によっては、社内の管理担当者への報告が必要な場合があります。
11. 最低限やっておきたい5つの安全策
日常の確認では、まずこの5つを習慣にしましょう。所属先のルールで必要な対策も合わせて守ってください。
- 送信前に実名・連絡先・金額・秘密情報を確認する
- 不要な個人情報は仮名や伏字にする
- 個人向けClaudeではモデル改善設定を確認する
- 履歴を残したくない用途はIncognito chatを使う
- コネクタやMCPは必要な権限だけにする
そして、パスワード・APIキー・秘密鍵のような認証情報は、設定に関係なく送らない。
このルールを1枚にしておくと、毎回細かなプライバシーポリシーを読み直さなくても、日常利用の事故をかなり防ぎやすくなります。
そのまま使える「送信前チェック」
Claudeへ業務情報を貼る前に、次の5つだけ確認します。
- □ 実名・住所・電話番号・メールアドレスは必要?
- □ 金額・口座・契約条件はそのまま必要?
- □ パスワード・APIキー・トークンは入っていない?
- □ 社外秘・未公開情報は必要な部分だけに絞った?
- □ コネクタやアップロードファイルの権限は必要最小限?
1つでも「そのまま入れる必要はない」と思ったら、伏せてから送ります。
よくある質問
やってみよう
判断クイズ
第1問
取引先から届いたメールをClaudeに添削してもらいたいです。
- A. 氏名・電話番号・メールアドレスを含め、そのまま全文を貼る
- B. 添削に不要な個人情報を伏せてから貼る
第2問
個人向けClaudeでモデル改善をオフにしました。
- A. これでパスワードやAPIキーも貼ってよい
- B. 認証情報は設定に関係なく貼らない
第3問
TeamプランでIncognito chatを使えば、会社のOwnerからも完全に見えなくなると思っています。
- A. その通り
- B. Incognitoは履歴・学習の扱いを変える機能で、組織の管理対象になる場合がある
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まとめ
Claudeの情報漏えい対策でいちばん大事なのは、機密情報を送ったあとに設定で守ることではなく、送る前に必要な情報だけへ減らすことです。
まず、
- 実名や連絡先を伏せる
- 秘密情報を貼らない
- 個人向けではモデル改善設定を確認する
- 必要ならIncognito chatを使う
- Work環境では組織ルールを確認する
- コネクタやMCPの権限を増やしすぎない
という順で考えます。
特に、「学習に使われない」「履歴に残らない」「誰からも見えない」は同じ意味ではありません。
この3つを分けて考えるだけでも、Claudeを仕事で使うときの事故はかなり防ぎやすくなります。
そして、パスワードやAPIキーなどの認証情報は、Claudeに限らずAIチャットへ貼らない。
もし貼ってしまった場合は、チャットを消すだけでなく、キーやパスワード自体を無効化・変更するところまで対応してください。