仕事の文章をAIで作る方法|任せる部分と人が直す部分

お客様へのメールや商品説明を書こうとして、書き出しで手が止まることがあります。
AIに頼むと整った文章はすぐ返ってきますが、自社の話がどこにも入っていなくて、結局ぜんぶ自分で書き直すことになります。
この記事では、どこまでをAIに渡して、どこから自分の手で直すのかを決める手順について書いています。
工程 | 主にすること | 最後に判断する人 |
|---|---|---|
目的決め | 何を、誰に、何のために伝えるかを決める | 人 |
材料整理 | 事実、条件、使わない表現をそろえる | 人 |
構成 | 情報を並べる順番の案を作る | AIと人 |
下書き | 確定した構成と材料を文章にする | AI |
確認 | 事実、配慮、自社らしさ、読みやすさ、送信可否を見る | 人 |
AIに任せる仕事と人が見る仕事の分け方は、「AI初心者とWeb制作者の仕事活用ガイド|AIに任せる仕事、人が見る仕事」で全体像を確認できます。
1. まず「何を誰に伝える文章か」を決める

最初に決めるのは、文章の種類と読み手と目的です。
ここが曖昧なままだと、AIは形の整った文章を返してきて、読んだ相手は「結局、何を伝えたいの?」で終わってしまいます。
そこで、次の1文を埋めましょう。
「この文章は、○○(読み手)に、○○を伝え、○○してもらうために作る」
納期変更のお知らせなら、こんなふうに整理できます。
「この文章は、すでに注文しているお客様に、発送予定日の変更と理由を伝え、新しい予定日を確認してもらうために作る」
この1文は、自分だけが読むメモとして、思いついた言葉のまま書きます。
文章の行き先がここで分かれば、もう十分です。
成果物を1つに絞る
1度の依頼で、メール、商品説明、SNS投稿をまとめて作ろうとすると、それぞれの役割が混ざってしまいます。
「問い合わせへの返信メールを1通作る」のように、成果物を1つに絞りましょう。
同じ内容を別の媒体でも使うなら、最初の文章ができてから、読み手や長さを変えて作り直します。
媒体が変われば、適した情報量や言葉の選び方も変わります。
読み手を具体的にする
「お客様向け」だけでは、相手の状況がまだ広すぎます。
初めてサービスを知った人と、すでに申し込んだ人では、知りたい情報が違います。どちらに向けて書くのか、ここで決めましょう。
読み手を決めるときは、次の3点まで整理します。
- 相手の立場:
見込み客、購入者、取引先、社内の担当者など - 相手が知っていること:
初めて読むのか、前の案内を読んでいるのか - 読んだ後にしてほしいこと:
内容を理解する、返信する、申し込む、確認するなど
ホームページの会社紹介やサービス説明を作るなら、ページごとの目的は「ホームページの文章をAIで作るには?会社紹介とサービス説明の書き方」で確認できます。
AIへ文章を頼む前に、「何を」「誰に」「何のために」の3点を1文で書きましょう。
目的が決まれば、必要な材料と、外す情報がはっきりしてきます。
ここまで整理できたら、AIに渡す土台はもうできあがりです!
2. 元になる事実と条件を先にそろえる

AIが推測してはいけない事実と条件は、書き出す前に自分の手でそろえます。
AIは、渡していない商品の情報も、あなたの仕事の事情も知りません。
材料が足りないと、AIは前後の言葉から内容を補って、もっともらしい文章にまとめます。
補われた文章は読み返しても自然なので、条件が違っていることに気づかないまま送信ボタンを押してしまいます。
文章へ入れる材料
材料は、相手へ伝える根拠そのものです。
そろえる項目は、書く文章の種類で変わります。
- 商品やサービスの正式名称
- 内容、対象者、提供範囲
- 日時、場所、受付期間、納期
- 料金と、その料金に含まれるもの
- 申し込みや問い合わせの方法
- 変更の理由や、相手に対応してほしいこと
- 自社で確認済みの実績や根拠
古い資料をそのまま使うと、いまの条件とずれた材料が混ざります。
料金、日時、受付条件のように相手の判断に関わる項目は、いま使っている資料で自分の目で確かめましょう。
守る条件
守る条件では、入れたい言葉と一緒に、入れてはいけない情報と、自分が言い切れない内容も先に渡します。
渡す条件は、たとえばこのあたりです。
- 使う会社名、商品名、担当者名の正式な表記
- 文章のおおよその長さ
- 丁寧、親しみやすいなどの文体
- 使わない専門用語や社内用語
- 約束していない納期、効果、対応範囲を書かないこと
- 個人情報や社外秘の内容を含めないこと
- 不明な情報を推測せず、確認が必要な箇所を示すこと
入力してよい情報の範囲は、取引先との契約や、使うサービスの規約で決まります。
個人情報、顧客情報、未公開の売上、契約書の中身は、貼り付ける前に入力してよい範囲を先に決めておきましょう。
迷ったら、実際の情報の代わりに「顧客名」「金額」「日付」と置いて、形だけ先に作ります。
AIが作った文章だけを根拠に、料金、納期、効果、契約条件を決めないでください。相手へ伝える条件は、自分で現在の資料と照合して確定します。
まとめる形は、箇条書きで足りますよ。
短いメモの方が、足りないところと食い違いがすぐ見えます。
そろわなかったところは、空欄のまま「要確認」と書いて残しましょう。
3. 構成と下書きを分けて頼む

材料がそろったら、AIに頼む仕事を構成と下書きの2つに分けます。
構成は、どの情報をどの順番で伝えるかを決めた骨組みです。
骨組みだけを先に見ると、抜けている説明も、相手が知りたい順番のずれも、言い回しに邪魔されずに見えます。
まず構成案を作る
お客様へ日程変更を伝えるメールなら、順番はこうなります。
- 何についての連絡かを伝える
- 変更前と変更後の日程を示す
- 変更の理由を必要な範囲で説明する
- 相手に確認や返信をお願いする
- おわびと問い合わせ先を添える
ここで見るのは、抜けている情報と、相手が最初に知りたいことが先頭に来ているか、この2つです。
並べ替えは地味な作業ですが、ここで直したことがいちばん効いてきます。
構成を確定してから文章にする
構成が決まったら、「この順番を変えず、渡した事実だけで下書きを作ってください」と頼みましょう。
下書きが長いときは、「同じ説明を1つにまとめる」「背景説明を2文までにする」のように、直す場所を名指しで伝えてください。
説明が足りないときは、「初めて読む人が判断するために不足している材料を挙げてください」と頼むと、確かめる項目がそのまま並びますよ。
挙がった項目の答えは、AIに作らせず、自分で資料や関係者に確かめます。
構成から下書きまでの流れは、この順番です⇩
- 人が文章の目的、読み手、材料、条件を用意する
- AIが情報の順番を構成案として出す
- 人が抜け、順番、不要な情報を確認する
- AIが確定した構成に沿って下書きを作る
- 人が事実と表現を直し、送信や公開を判断する
役割・前提・指示を使った詳しい頼み方は、プロンプトの基本3要素で確認できます。
役割・前提・指示の3つに分けて伝えると、直す場所がはっきりします。
1度目に決めるのは骨組みだけです。
構成と下書きを分けておけば、文章が仕上がる前に、人が判断する場所ができます。
4. 人が直す5つの確認ポイント

下書きができたら、最後に見るのは、事実、相手への受け取られ方、いつもの自分の言い方、読みやすさ、外へ出してよいかの5つです。
文が整っていると、中身まで合っている気がしてきます。
文の運びは目で追えば分かりますが、名前や数字が合っているかは、元の資料と突き合わせないと分かりません。
事実は正しいか
元の資料と下書きを、並べて開きます。
目を止めるのは、次の項目です。
- 人名、会社名、商品名
- 数字、単位、料金
- 日付、曜日、時間
- 対象者、受付条件、提供範囲
- URL、電話番号、メールアドレス
- 実績、引用、出典
一文字違えば、それだけで相手の動きが変わってしまいます。
画面の下書きだけで判断が付きそうなところでも、元の資料の行まで戻って、文字を一つずつ合わせましょう。
法務や契約、権利、健康、安全にかかわる文章は、公的な情報と専門家に当ててから確定します。
相手への配慮があるか
ここで見るのは、読んだ人が責められたように感じないか、必要以上に不安にならないかです。
入力ミスを知らせる一文が「間違っています」だけだと、受け取った側には強く響きます。
「入力内容を確認できなかったため、お手数ですが、次の項目をご確認ください」と書けば、起きたことと、次にしてほしいことがきれいに分かれます。
同じ内容でも、受け取る側の気持ちは変わります。いま手元にある下書きで、読んだ人が身構えそうな一文はどこでしょう。
自社らしさがあるか
AIの下書きは、中身が合っていても、自分が普段使わない言葉や、少し遠い言い方になります。
前に自分が送った案内や、ホームページの文章と見比べましょう。
次の5つがそろえば、いつもの自分の文章に戻ります。
- お客様の呼び方
- 会社名やサービス名の表記
- 丁寧さの程度
- よく使う言葉と、使わない言葉
- おわび、お礼、お願いの伝え方
らしさは、いつもの言葉づかいがそのまま残っているかどうかです。
読んだ人が「いつもの人からの案内だ」と迷わず受け取れれば、それでそろっています。
読みやすいか
声に出すつもりで読むと、長い1文と、同じ説明の二度目が引っかかりますよ。
1文に「理由」「条件」「お願い」が詰まっていたら、2つか3つに切ってください。
同じ言葉が続くところ、主語が途中で変わるところ、何を指しているか分からない「こちら」「それ」も、同じ目で拾います。
並べれば済む情報を長い文のままつないでいたら、そこは箇条書きの出番です。
公開・送信してよいか
その文章を本当に外へ出してよいかを決めるのは、自分です。
見るのは、誤字、相手への約束、公開してよい情報、個人情報、外に出せない情報、添付ファイル、送信先です。
メールなら、宛先、CC、BCC、件名、添付ファイルをもう一度開いてください。
ホームページやSNSなら、公開範囲、画像や文章を使う権利、リンク先、問い合わせ先を一つずつたどります。
AIは下書きを手伝えますが、事実を確定し、相手への約束を決め、公開や送信を承認するのは人です。
急ぐ文章ほど、送信ボタンの前で1度だけ手を止めましょう。
上から順に見る理由は、言い回しに気を取られて事実を飛ばさないためです。
5. 1つの文章から仕事の型を作る

1つの文章を作り終えたら、うまく使えた材料と確認項目を、小さなテンプレートとして残しましょう。
同じ仕事が次に来たとき、ゼロから考え直さずに済みますよ。
もう一度使えるのは、文章を作る前に集めた情報と、最後に確認した基準です。
残すのは、この5項目です。
- 目的:
何を、誰に、何のために伝える文章か - 材料:
毎回用意する事実と、その確認元 - 条件:
長さ、文体、使わない表現、推測してはいけない項目 - 構成:
情報を並べる基本の順番 - 確認:
事実、配慮、自社らしさ、読みやすさ、送信可否のチェック項目
顧客名、個人情報、契約金額のような、案件ごとに扱いを決める情報は、テンプレートから外します。
そこは「顧客名を入力」「確定した納期を入力」と空欄で残しておけば、次の案件でもそのまま使えます。
使うたびに小さく直す
一度作ったテンプレートは、そのあと何度も書き換わります。
実際に使って「この材料が足りなかった」「確認項目が1つ抜けた」と気づいたら、その箇所だけを足しましょう。
変更した日と理由も短く書き添えておけば、古い条件のまま使っていたことに、その場で気づけます。
この一行が、あとで効いてきます。
読み手と目的と事実は案件ごとに変わるので、テンプレートを開いたら、そこが今回と合っているかを最初に見ます。
仕事の型は、自分が目で確かめる場所を、毎回同じところに置いておく仕組みです。
まとめ

仕事の文章をAIで作るときは、工程を分けて、1つずつ渡します。
私も次に記事の下書きを作るときは、この1文を書くところから始めます。
- 何を、誰に、何のために伝える文章かを1文で決める
- 事実、条件、使わない表現を人が先にそろえる
- 構成案を確認してから、下書きを作る
- 事実、配慮、自社らしさ、読みやすさ、送信可否を人が確認する
- 相手への約束と、公開・送信の判断をAIへ任せない
- 使った材料、指示、確認項目を小さなテンプレートとして残す
広げるのは、1つの文章で形が決まってからです。
よく送る案内メールを1つ選んで、「何を、誰に、何のために伝えるか」を1文で書きましょう。
その1文が決まると、AIに任せる分と自分で決める分がはっきりして、送る前の迷いが軽くなりますよ。
---
関連記事
