制作会社から納品されたホームページはどこを見る?公開前の受け取りチェック

制作会社から「ホームページが完成しました」と連絡が来ると、最初に見たくなるのはデザインです。
ただ、見た目がきれいでも、依頼した内容や管理に必要なものまですべてそろっているとは限りません。
受け取りのときは、大事な確認の機会です。
公開後に「自分たちで更新できない」と困らないために、ここを見ておきます。
この記事では、制作会社からホームページを受け取るときに確かめる内容を、5つに分けて整理します。
1. 納品確認は「好み」だけで判断しない
納品の確認は、デザインの好き嫌いだけでは決まりません。
見積書、提案書、仕様書、サイトマップ、メールなど、制作会社と合意した内容が分かる資料を先に手元へ集めます。
その資料には、修正回数、検収期限、公開作業、納品後の保守範囲の記載もあります。
細かく書かれている分だけ、見落とさずに読みたい部分です。
検収とは、納品されたものが依頼内容に合っているかを確認し、受け取りを判断する作業のことです。
「自分の好みと違う」のか、「依頼した内容と違う」のかで、話は変わります。見た目が好みでも、必要なページや機能が足りなければ確認が必要です。
気になる点は、まず次の3つに分けると整理しやすくなります。
分類 | 例 | まずやること |
|---|---|---|
依頼内容との不一致・不具合 | 依頼したページがない、ボタンが動かない | 合意した資料と当てはまる場所を示して確かめる |
確認が必要 | 仕様どおりか分からない、説明と動きが違う | 想定した動きと理由を制作会社へ聞く |
好み・追加要望 | 色を変えたい、新しい機能を足したい | 当初の依頼範囲と分け、追加費用や納期を確かめる |
この3つに分けてから伝えると、制作会社とのやり取りも短く済みます。
2. 依頼したページと内容がそろっているか
ここからは、見積書やサイトマップと実際のホームページを、ページごとに照らし合わせる作業になります。
デザインが仕上がっていると、トップページだけ見て終わりにしたくなるかもしれません。
ただ、料金、サービス、会社情報、よくある質問、問い合わせなど、依頼したページを一つずつ開くと、足りないページや古い情報が見つかります。
確かめた内容は、ページ名、URL、結果、気になる点の4列で一覧にしておくと、あとから見返しやすくなります。
実際に見る項目はこちらです⇩
- 依頼したページがすべてあり、メニューやリンクから移動できる
- 会社名、料金、営業時間、連絡先、対応範囲が現在の情報になっている
- 仮の文章、見本画像、ダミーの電話番号、制作中のメモが残っていない
- スマートフォンで文章、画像、表、ボタンが崩れていない
- 問い合わせフォームを送信でき、完了表示を確認できる
- 自動返信や運営者側への通知が仕様に含まれる場合は、実際に届く
- 写真、イラスト、ロゴ、文章について、公開や利用に必要な許可・条件を確認できる
ページや操作をもっと細かく見るときは、「Webサイト公開前に確認すること一覧」も一緒に使えます。
元データや利用範囲は契約で確認する
契約まわりは、少し分かりにくいところです。
完成したホームページを自社で使えることと、画像やデザインの元データを自由に変更・再利用できることは、必ずしも同じではありません。
著作物を利用するための契約は、文化庁の著作権契約マニュアルで、利用許諾契約と著作権譲渡契約の二つに大きく分けて説明されています。
契約書や納品一覧では、次の点を照らし合わせます。
- 何が納品物に含まれるか
- 自社で修正・再利用できる範囲
- 制作会社や素材提供元の表示が必要か
- 将来、別の制作会社へ引き継げるか
分からない項目が出てきたら、制作会社へ「どこまで使える契約ですか?」と聞くのが早いです。
契約内容について法的な判断が要る場合は、自己判断で決めず、契約書を扱える専門家に相談します。
3. 更新・管理に必要なものを受け取ったか
公開後も自社で運用するなら、見るのはホームページ本体だけではありません。
更新と復旧に必要な権限まで確かめます。
IDやURLの一覧を受け取ると、「これで引き継ぎは終わり?」と思うかもしれません。
ただ、自社の担当者が実際にログインして必要な操作までできるかどうかで、その先の運用が変わります。
受け取りのときに確かめる管理対象は、次のとおりです。
管理対象 | 受け取り時に確かめること |
|---|---|
更新用の管理画面 | 自社アカウント、権限の種類、ログイン方法、操作マニュアル |
ドメイン | 登録者、管理事業者(レジストラなど)、管理アカウント、更新日、請求先、連絡先、移管方法 |
サーバー・ホスティング | 契約者、管理画面、請求、バックアップ、障害時の連絡先 |
メール・DNS・フォーム | 設定の管理者、通知先、変更時の担当者 |
アクセス解析・検索管理 | Google Analytics、Search Console、タグ管理などのユーザーと権限 |
納品データ | 画像、文章、設定資料、バックアップ、操作手順の保存場所 |
DNSは、ドメイン名とホームページやメールの接続先を結ぶ設定のことです。
Googleのサービスは、同じサイトを扱う場合でも、サービスごとに権限の管理が分かれています。
Google Analyticsではアカウントまたはプロパティ単位の役割を、Search Consoleでは所有者やユーザーの権限を、それぞれの管理画面で確認できます。
権限の名前が似ているため、どれを受け取ればいいかで迷う人が多いです。
Google Analyticsでは、対象のアカウントまたはプロパティでの自社アカウントの役割を見ます。
そこが「管理者」になっているかどうかが、Google Analytics側の確認点です。
Search Consoleでは、自社アカウントが「所有者」になっているかどうかが同じ位置にあたります。
Search Consoleの「フルユーザー」は、「所有者」とは別の権限です。
受け取った権限の名前まで確かめておかないと、「データを見られれば十分」のまま、あとで権限が足りないと分かります。
Google タグ マネージャーの公式ヘルプでは、組織内の担当者が管理し、有効な管理者を少なくとも2人用意するよう案内されています。
「社内で一人しか管理できない」という状態は避けます。
アカウントの引き継ぎは、次の順番で進みます。
- 制作会社に、自社担当者のメールアドレスへ正式に権限を追加してもらう
- 届いた招待を承認し、自社アカウントでログインする
- 自社アカウントで更新やユーザー管理を試し、バックアップの取得状況と復元方法も契約・サービス仕様に沿って確かめる
- 請求先、更新連絡先、復旧方法、多要素認証の設定を確かめる
- 自社で問題なく使えることを確かめてから、制作会社側の権限を契約に合わせて調整してもらう
多要素認証とは、パスワードに加えて認証アプリやセキュリティキーなど、別の方法も組み合わせて本人を確認する仕組みです。
Search Consoleの確認済み所有者から制作会社を外すときは、手順に注意が要ります。
まず、自社側の所有権確認を済ませます。
そのうえで、旧所有者がアクセスを回復できないよう、Search Consoleの所有者・権限に関する公式手順に沿って、その人にひも付く確認トークン(所有権の証明に使う印)を削除します。
この確認トークンは、Googleの別サービスの所有権確認にも使われている場合があります。
外したい相手と確認方法を特定してからでないと、関係のないトークンまで消えてしまいます。
利用者を個別に追加できるサービスなら、パスワードを共有するのではなく、自社担当者のアカウントを招待して権限を渡す形が選べます。
どうしても共有アカウントしか使えないなら、社内の管理責任者を先に決めます。
そのうえで、初回ログイン後のパスワード変更、多要素認証、復旧情報の管理方法まで取り決めておくと、あとで困りません。
IPAの中小企業向け情報セキュリティ対策ガイドラインには、アカウント管理、認証、バックアップ、Webサイトの安全な運用に関する資料がまとまっています。
受け取っただけでは、まだ終わりではありません。自社アカウントで一度ログインし、更新やユーザー管理まで試します。
4. 修正依頼は具体的に伝える
修正したい場所が見つかると、つい「なんとなく変」「いい感じに直して」と伝えたくなるかもしれません。
ただ、その伝え方だけでは、制作会社が問題の場所を特定できないことがあります。
どのページで何が起き、どうなってほしいかを伝えれば十分です。
修正依頼は、1件ごとに次の形でまとめます。
- 種別:不具合/質問/依頼内容との相違/追加要望
- 対象:ページ名、URL、画面内の場所
- 確認環境:端末、OS、ブラウザ
- 再現手順:どの順番で操作したか
- 現在の状態:実際に表示・動作している内容
- 期待する状態:何が表示・動作すれば確認完了か
- 添付:問題箇所が分かるスクリーンショットや画面録画
- 期限:公開予定や確認希望日
たとえば、「スマホでメニューが変です」だけでは、制作会社が同じ状態を再現できない場合があります。
「iPhoneのSafariでトップページを開き、右上のメニューを押すと料金ボタンが画面外へはみ出す」のように、端末と操作も加えます。
端末名と操作の順番を書き添えるだけでも、状況はぐっと伝わりやすくなります。
スクリーンショットを送る前に、個人情報、問い合わせ内容、パスワード、管理画面上の機密情報が写っていないかも確かめます。
修正後は、同じ端末と手順でもう一度操作して、直ったことまで確かめます。
直ったところまで自分で確かめられれば、同じ内容を何度も説明し直すやり取りを減らせます。
他社が作ったサイトを目的に沿って確認する方法は、「他社に作ってもらったホームページをチェックしたいときの確認方法」でも詳しく説明しています。
5. 第三者確認を使う判断基準
まずは、気になる点を制作会社へ質問して、返ってきた回答と修正後の状態をもう一度見ます。
それでも公開していいか迷うなら、制作会社とは別の第三者に一度見てもらう方法もあります。
第三者に見てもらう場面は、次のようなときです。
- 合意した資料と納品物の違いが、説明を聞いても整理できない
- 自社にWeb担当者がおらず、必要な権限がそろったか判断できない
- 問い合わせ、会員機能、決済、個人情報など、問題が起きたときの影響が大きい
- 制作会社へ直接聞きにくい点があり、別の視点で状況を整理したい
- 公開日が近く、優先して直す項目を決めたい
第三者へ相談するときは、渡せる資料と見てほしい内容を先にまとめておくと、話が早く進みます。
第三者確認で、何でも判断できるわけではありません。契約や権利は法律の専門家へ、サーバーの安全性や不正アクセスはセキュリティの専門家へ相談します。管理画面を共有する場合は、権限と期間を必要最小限にします。
第三者に見てもらう方法をもう少し知りたいときは、「ホームページのセカンドオピニオンとは?」も参考になります。
まとめ
ホームページを受け取るときに確かめる要点は、次の6つです。
- 見積書、仕様書、依頼内容、検収条件を確認した
- 依頼したページ、内容、表示、フォームを実際に確認した
- 納品データと、修正・再利用できる範囲を確認した
- 自社アカウントで管理画面や各サービスへログインできた
- 修正点をURL、端末、手順、現在と希望の状態で整理した
- 未解決の問題と、第三者へ相談する範囲を分けた
時間がないときに一つだけ選ぶとしたら、見積書や仕様書と実際のページ一覧の照らし合わせです。
そのあとに管理権限と修正点まで見ておくと、公開後に「自分たちで触れない」と慌てずに済みます。

