ざっくり言うと
英文メールは、日本語で用件を伝えればClaudeが下書きにしてくれます。渡すのは、相手との間柄、伝えたい用件、そして「丁寧に」「カジュアルに」といった調子の希望だけです。辞書を引きながら自分で英作文するより、ずっと早く形になります。
Claudeには、もう2つ心強いところがあります。Gmailとつなげば、届いた英文メールを読んだうえで返信の下書きまで頼めますし、案件ごとの作業場(Projects)に用語集を置いておけば、次の一通でも同じ言い回しで書いてくれます。
出てきた英文は、送る前に自分の目で読み直してください。そこさえ守れば、実務でそのまま使えます。
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正確には
Claudeは、文章を書く仕事全般を手伝うAIです。Anthropic公式でも、メールの下書き、社内の連絡文、ビジネス文書の作成が使い道として案内されています。
頼み方が具体的なほど、下書きは完成形に近づきます
頼み方のコツは、Anthropic公式のガイド「プロンプトエンジニアリングのベストプラクティス」に載っています(※原文:Best practices for prompt engineering)。すすめられているのは2つです。1つは、あいまいに濁さず具体的に指示すること。もう1つは、誰に向けた文章で、どんな調子で、どんな場面のものかを伝えることです。
英語メールは、この助言がそのまま効く場面です。相手は誰で、どんな付き合いで、どこまで丁寧にしたいか。ここを渡すほど、返ってくる下書きが完成形に近づくのが英語メールの特徴です。
トーンは日本語のままで伝わります
英語で書く必要はありません。こんな日本語でちゃんと通じます。
- 「丁寧に」「フォーマルに」「かしこまった英語で」
- 「カジュアルに」「フレンドリーに」「親しい取引先向けに」
- 「ビジネス英語として自然に」「ネイティブが普段使う言い回しで」
- 「簡潔に」「3〜4文くらいの短いメールで」
- 「初対面の相手に失礼にならないトーンで」
- 「長く付き合いのある相手向けに、堅すぎない感じで」
Claudeは、間柄や場面をふまえて言い回しを選びます。相手とのつながりを一言添えるだけで、仕上がりがぐっと変わります。
なお、返ってくるのは訳文ではなく下書きです。日本語を1文ずつ訳したものではなく、英文メールとして自然な形に組み直したものが出てきます。ここで起きやすい行き違いは、あとの「注意点」にまとめました。
届いたメールを読ませて、返信を書いてもらう
ClaudeはGmailとつながります。このつなぐ仕組みを、コネクター(Connector)と呼びます。
つないでおくと、英文メールを本文ごとコピーして貼りつける手間がなくなります。「Smithさんから届いたメールを読んで、丁寧めの返信下書きを作って」と日本語で頼むだけです。Claudeが該当のメールを探して読み、返信の下書きをGmailの下書きフォルダに保存します。
線引きも先に覚えておきましょう。Claudeにできるのは下書きの保存までで、送信はできません。読める範囲も、つないだ本人が見られるメールに限られます。下書きの保存のように何かを書き込む操作では、Claudeはその都度あなたの承認を求めます。
取引先ごとの言い回しを、次の案件へ引き継ぐ
英文の往復が続く相手ほど効いてくるのが、Projects(プロジェクト)です。案件ごとにチャットをまとめておける作業場で、次の2つを置いておけます。
- ナレッジベース
参考にしたい資料の置き場。過去の英文メールや、取引先ごとの用語集をアップロードしておく - プロジェクト指示
そのプロジェクトの中だけで効くルール。「この相手には丁寧めの敬語で」「社名の略称は使わない」など
プロジェクトに入れた資料とルールは、そのプロジェクト内のどのチャットでも効くので、「A社向けの前提」を毎回書き直さずに済みます。3通目、5通目と続くほど、この差は大きくなります。
プロジェクトはFreeプランでも作れます。2026年7月29日時点の公式ヘルプでは、Freeが最大5つまで、Pro($20/月)以上は無制限です。
あるチャットで話しただけの内容は、別のチャットへ自動では伝わりません。「この相手にはこの訳語で」と決まったら、その結論を短くまとめてナレッジベースへ入れてください。
注意点
出てくるのは訳文ではなく、書き起こした下書きです
Claudeが返す英文は、日本語の直訳ではありません。英文メールとして自然な形に組み直した、新しい下書きです。便利な半面、こんなずれが起きます。
- 日本語の含みや遠回しな言い方が、英文ではまっすぐ言い切る形になることがある
- 「よろしくお願いします」のような挨拶が、場面に合わせて別の表現へ置き換わる
- 業界用語や社内だけで通じる言い方が、一般的な言葉に直されることがある
- 自分が言いたかったニュアンスと、微妙にずれることがある
英語だと、その言い方が強すぎないかは判断しづらいですよね。最後のニュアンスを決めるのは、送る本人です。返ってきた英文を読んで、「言いたかったのは、ここまで強い言い方だったかな」と一度立ち止まってください。英文と日本語訳をセットで出させると、ずれに気づきやすくなります。
金額と日付は、送信ボタンの前にもう一度見てください
Claudeは、こちらが渡していない情報をそれっぽく補ってしまうことがあります。事実と違うことを自然な文章で書いてしまう現象を、ハルシネーションと呼びます。英文メールでは、次のような形で紛れ込みやすいので気をつけたいところです。
- 頼んでいないのに「ご注文の件」のような前提が入る
- 提出日が「next Monday(来週の月曜)」のように、勝手に具体化される
- 先方の担当者名や役職が、それらしく作られる
金額・期日・固有名詞は、送信前に必ず手元の資料と突き合わせましょう。頼むときに「事実は私が指定したもの以外は書かないでください」と1行足しておくのも効きます。Anthropic公式のプロンプトガイドでも、前提と制約をはっきり示すことがすすめられています。
ナレッジベースに資料を入れてあっても、ここは変わりません。プロジェクトは資料と指示を使いやすくする仕組みで、答えの正しさまで保証するものではないからです。
つなぐアカウントと、預ける資料は選んでください
Gmailとつなぐと、そのアカウントのメール本文にClaudeがアクセスできる状態になります。個人のGmailには、家族とのやり取りも、銀行や行政からの通知も入っています。仕事で使うなら、プライベートと分けた業務用のGoogleアカウントをつないでください。
承認画面は、中身を読まずに押し続けないでください。Claudeは、書き込みの操作のたびに承認を求めてきます。ここを機械的に押していると、頼んでいない下書きが残ることがあります。
Projectsにも似た注意が要ります。Team / Enterpriseでプロジェクトを共有すると、ナレッジベースに入れた資料は共有相手が使える範囲に入るため、顧客の個人情報や、未公開の契約条件を置く前に、共有相手と権限を確認してください。
なお、チャットの削除とコネクターの解除は別の操作です。機微なメールを参照したチャットは削除し、連携そのものが不要になったら設定からコネクターも切ってください。
プロジェクト数の上限や、コネクターで使える操作の範囲は改定されることがあります。最新の条件は、記事の最後の「参考ソース」の公式ページで確認してください。
やってみよう
そのままコピーして使える、頼み方3つ
パターン1: 海外の委託先へ、契約更新の面談を打診する
以下の内容で英語のビジネスメールを書いてください。
- 相手: 海外の業務委託先(法務担当・付き合いは3年ほど)
- トーン: 丁寧めだが堅すぎない、フレンドリーなビジネス調
- 用件:
1. 今期の対応へのお礼
2. 業務委託契約の更新について相談したい
3. 30分のオンライン面談を2026年9月中に設定したい
件名と本文をセットで提案してください。
日本語訳も並べて出してくれると助かります。
パターン2: 初めて連絡する海外の会計事務所へ、資料を依頼する
海外の会計事務所に、監査対応の資料を依頼する英文メールを書いてください。
- 相手: 初めて連絡する担当者
- トーン: フォーマル
- 用件:
1. 自社の自己紹介(日本の小規模なコンサルティング会社)
2. 親会社の監査で、現地法人の残高証明が必要になった
3. 取得の手順、必要な書類、費用の目安を教えてほしい
提出期限が2026年9月18日(金)であることも本文に入れてください。
初対面なので、失礼のない範囲で、要点が明確に伝わる構成にしてください。
パターン3: 届いた英文メールに返信する(Gmailとつないでいる場合)
2026年9月8日に取引先のSmithさんから届いたメールを読んで、
返信の下書きをGmailに作ってください。
- トーン: 丁寧めで、こちらから歩み寄る感じ
- 伝えること:
1. 資料の送付が遅れているお詫び
2. 9月18日までには提出できる見込み
3. 事前に確認したい点が2つあるので、短い打ち合わせをお願いしたい
英文と日本語訳を並べて出してください。
Gmailとつなぐ手順
パターン3を使うには、先にGmailとつないでおきましょう。
- Claude(Web版またはClaude Desktop)にログインしてください
- Customize > Connectorsを開いてください。チャット欄の「+」からConnectorsを開いても、同じ画面が出ます
- 一覧からGoogle Workspaceを選び、Gmailを有効にしましょう
- Googleアカウントの認証画面で、連携したいアカウントでサインインしてください
- 提示されたアクセス許可の内容を読み、問題がなければ同意しましょう
メニュー名は、公式ヘルプに合わせて英語で書いています。表示言語が日本語なら、「設定 > コネクター」のように表示されます。
会社支給のアカウントだと、この画面にコネクターが見当たらないことがあります。Team / Enterpriseプランでは、OwnerまたはPrimary Owner(組織の管理者)が先に組織全体で許可しておく必要があるためです。見当たらないときは、管理者に確認してください。
取引先ごとのプロジェクトを作っておく
同じ相手と英文メールを何度もやり取りするなら、案件ごとにプロジェクトを作っておくと後が楽になります。
- Claudeのサイドバーから「Projects」を開く(直接開くなら claude.ai/projects)
- 右上の「+ New Project」を押す
- プロジェクト名と説明を入力する(例:「A社 業務委託契約」)
- 「プロジェクト指示(Project instructions)」に、その相手向けのルールを書く
- 例:「英文メールは丁寧めのビジネス調で」「社名の略称は使わない」「日本語訳も並べて出す」
- ナレッジベースに、過去の英文メールと用語集をアップロードする
プロジェクト名と説明は整理用です。Claudeはその中身を参照しないので、守ってほしい前提はプロジェクト指示かナレッジベースへ入れてください。
用語集は、凝ったものでなくて大丈夫です。「業務委託契約=Service Agreement」「残高証明=balance certificate」のように、自社で使い分けている訳語を並べたテキストで十分です。これがあると、案件をまたいでも訳語がぶれません。
締めに
英文メールのいちばんきつい部分は、白紙から書き出すところですよね。日本語で用件を並べて渡せば、そこはClaudeが引き受けてくれます。あとは自分の目で読んで、言い方を整えるだけです。
まずは、社外に出ない練習メールから試してください。慣れてきたら、Gmailとつないで返信の下書きまで頼んでみましょう。同じ相手とのやり取りが続くなら、その案件のプロジェクトに用語集と過去のメールを入れておくと、2通目からの手間がぐっと減ります。
完璧な英文を書かせようとせず、下書き役として付き合ってください。この距離感で使うのが、長続きするコツです。