Claudeに前提条件を伝える書き方
この記事は約9分で読めます
ざっくり言うと
Claudeの答えがふわっとするときは、たいてい前提が伝わっていません。
誰に向けて、何のために、どんな決まりを守って書くのか。この3つを最初にまとめて渡すと、返ってくる文章の具体さが変わります。
しかもClaudeには、その前提を置いておける場所が3つあります。今回かぎりの事情はチャットに、毎回同じことはInstructions for Claudeに、案件ごとに変わる決まりはProject instructionsに。同じ前置きを毎回打ち直さずにすみます。
イメージ
正確には
Claudeが見ているのは、目の前に届いた文章(プロンプト)だけです。そこに書いていないことは、「たぶんこういう意味だろう」と推し量るしかありません。前提を省いた質問ほど、当たり障りのない答えが返ってくるのはそのためです。
Anthropicの公式ガイドにも、「はっきり、直接、くわしく」という項目があります(※原文:Be clear, direct, and detailed)。そこでは、自分の会社のやり方をまだ知らない優秀な新人に頼むつもりで、必要な前提をすべて言葉にして渡すようすすめています。指示を出す目的や理由まで添えると、Claudeは狙いをつかんで、より意図に沿った答えを返すとも書かれています。くわしくは、記事の最後の「参考ソース」の公式ページで確かめてください。
役割を与える書き方との違い
「経験豊富な編集者として答えて」のように役割を決める書き方(役割プロンプト)と混ざりがちですが、この2つは別ものです。
- 役割
誰として答えるかを決めます(例:「社会保険労務士として」) - 前提条件
どんな状況で、誰に向けて、何を守って書くのかを渡します(例:「顧問先の総務担当者へ、休暇の申請ルールの変更を400字以内で知らせる」)
両方そろうと、「この立場の人が、この相手に、この決まりの中で書く」という指示になります。ここまで伝われば、答えの精度はぐっと上がります。
前提には、置き場所が3つある
前提の中身が決まってくると、今度は打ち込む手間が気になってきます。同じ前置きを、チャットを始めるたびに書くことになるからです。
Claudeでは、その前提を書いて置いておけます。置き場所は、どこまで効かせたいかで3つに分かれます。
- その場のチャット
そのやり取りの中だけに効きます - Instructions for Claude
Claudeとのすべての会話に効きます - Project instructions
そのプロジェクトの中のチャットにだけ効きます
「常に日本語で、結論を先に」のような、案件を問わず毎回そうしてほしいことは、Instructions for Claudeへ。向いているのは、言語の指定、説明の詳しさ、よく出てくる用語、基本のトーンあたりです。公式ヘルプでは、左下のイニシャルから Settings を開き、Instructions for Claude に書くと案内されています。
「A社向けは略称を使わない」のように、案件で中身が変わる決まりはProject instructionsへ。効くのはそのプロジェクトの中のチャットだけなので、別の案件の書き方と混ざりません。なお、プロジェクトにつけた名前や説明を、Claudeは見ていません。守ってほしいことは、必ずProject instructionsのほうへ書いてください。
残るのは、今回かぎりの事情です。「先方の担当者が代わったばかりです」のような話は、そのつどチャットに書けば十分です。
同じ内容を3か所に書く必要はありません。まず「どこまで効かせたいか」を決めて、いちばん狭い場所に置くと、あとで直すのが楽になります。
迷ったら、書いた指示を読み返して「この仕事を初めて頼まれた人が、これだけで動けるかな」と考えてみてください。誰に向けるか、何のために使うか、守ってほしい決まりごと。この3つのどれかが抜けていれば、Claudeにとっても説明不足です。
たとえば「案内文を作って」では足りません。「顧問先の総務担当者に向けて、休暇の申請ルールの変更を知らせる案内文を、やわらかい言葉で3案」まで書くと、必要な前提がそろいます。
やってみよう
例1:顧問先へ送るお知らせメール
前提なし
就業規則の変更を知らせるメールを書いて。
→ 「平素より大変お世話になっております」で始まる、どこの事務所でも使えそうな文面が返ってきます。
前提あり
社会保険労務士事務所から、顧問先の総務担当者へ送るメールの本文を
書いてください。
用件は、休暇の申請ルールを変えたので、社内へ周知してほしいという
お願いです。
相手は法律の言葉に慣れていない方なので、条文の引用は避け、
「いつまでに、何をすればよいか」が分かる書き方にしてください。
全体で400字以内、丁寧な敬体、最後に問い合わせ先の一文を入れて
ください。
→ 差出人の立場、送り先、用件、相手の知識レベル、避けたいこと、字数、口調、締めの形までそろっています。宛名を入れれば、ほぼそのまま送れる文面が届きます。
例2:見積書に添える説明を書き直す
前提なし
この文章を分かりやすく書き直して(ここに元の文章を貼る)。
→ 誰に向けて分かりやすくするのかが伝わらず、ぼんやりした文章になります。
前提あり
次の文章を、はじめて取引する会社の経営者に向けて書き直して
ください(ここに元の文章を貼る)。
相手は同業ではなく、この分野の言い回しには慣れていません。
略語と業界の言葉は、その場で1行言い換えてから使ってください。
全体で300字以内、1段落は2〜3文にしてください。
理由:この文章を読んで金額の内訳に納得してもらえるかどうかで、
契約に進むかが決まります。読み飛ばされない長さと言葉にしたいのです。
→ 相手、避けたいこと、代わりの書き方、字数、段落の作り方に加えて、「なぜそうしてほしいのか」まで伝わっています。だからこそ、その人に届く文章になります。
理由を書き添えると、Claudeはこちらの意図を汲んでくれます。迷ったら、「なぜそうしたいのか」も一緒に書いてみてください。
同じ前置きを3回打ったら、置き場所へ移す
先週書いた前提を今週もまた打ち込んでいると気づいたら、移しどきです。まずは、すべての会話に効く置き場所から試しましょう。
- Claudeの左下にある自分のイニシャルを押す
Settingsを開くInstructions for Claudeに、毎回そうしてほしいことを2〜4行で書く- 新しいチャットで答えを見て、気になったところだけ直す
書き出しに迷ったら、次の文をそのままコピーして貼ってみてください。
常に日本語で答えてください。結論を先に書き、専門用語は初めて出てきたところで一言だけ言い換えてから使ってください。文章はやわらかい敬体にし、確かめられない事実は断定しないでください。
案件ごとの決まりは、その案件のプロジェクトを開いて、Project instructionsに書きます。「社名と製品名は正式名称で書く」「提案書向けの丁寧な敬体にする」の2行だけでも、その案件のチャットには毎回効きます。
ここに置いた指示は、あとから始めるチャットにも効き続けます。だからこそ、顧問先の名前、担当者のメールアドレス、契約金額のような、人に見せられない情報は書かないでください。書き方だけ伝えたいなら、「A社」「金額A」と置き換えた例で十分です。
慣れてくると、依頼文を書いている途中で「あ、ここの前提がまだ曖昧だな」と自分で気づけるようになります。前提を書き出す作業は、自分の頭の中を整理することとほぼ同じです。Claudeを使うほど、考えの整理もうまくなっていきます。
前提は、最初にまとめて渡してしまうのが結局いちばん楽です。それでもしっくりこなければ、「もっとやさしく」「字数を半分に」と追加で頼めば大丈夫です。一発で決める必要はありません。前提を足しながら、少しずつ詰めていってください。
よくある質問
- Q. Claudeに渡した前提が足りているかは、どう確かめますか?
- A. Anthropicの公式ガイドがすすめるのは、その仕事の事情を知らない同僚にプロンプトを見せて、そのまま動いてもらえるか想像することです。同僚が困るところでは、Claudeも同じように止まっています。
- Q. Claudeに前提条件を渡すのと、役割を与えるのは違いますか?
- A. 別ものです。役割は誰として答えるかを決め、前提条件はどんな状況で、誰に向けて、何を守って書くのかを渡します。両方そろうと、答えの精度はぐっと上がります。
- Q. Claudeに同じ前置きを毎回打たずに済ませられますか?
- A. 置き場所が3つあります。今回かぎりの事情はチャットに、案件を問わず毎回そうしてほしいことはInstructions for Claudeに、案件ごとに変わる決まりはProject instructionsに書きます。
- Q. Claudeの設定に書いた前提は、あとから始めたチャットにも効きますか?
- A. 効き続けます。だからこそ、顧問先の名前、担当者のメールアドレス、契約金額のような人に見せられない情報は書かないでください。書き方だけ伝えたいなら、「A社」「金額A」と置き換えた例で十分です。
公開: 更新: ✓ 公式情報と照合:
参考ソース
- Claude Docs - Be clear, direct, and detailed(公式情報)
- Claude Help Center - My prompt isn't giving me a helpful answer(公式情報)
- Anthropic Blog - Best practices for prompt engineering(公式情報)
- Claude Help Center - Understanding Claude's personalization features(公式情報)
- Claude Help Center - What are projects?(公式情報)
- Claude Help Center - How can I create and manage projects?(公式情報)
この教科書は無料で全文公開しています。仕事で使えるところまで進みたい方は、実習と資料がそろった生徒プランをどうぞ。