「Claudeに文章を直してもらったけれど、どこを重視したのか分からない」「お客様の立場から意見がほしい」。そんなときは、質問に「どの立場で、何を見てほしいか」を加えてみましょう。
たとえば「編集者として」と書くよりも、「初心者向け教材の編集者として、専門用語と説明の順番を確認して」と伝えるほうが、見るべき点が明確になります。
ただし、役割を付ければ必ずよい答えになるわけではありません。 この記事では、Claudeで役割を指定する手順、役割あり・なしを比べる方法、仕事で使える例文、同じ指示を保存する方法を説明します。
ざっくり言うと
役割指定(ロールプロンプト)は、Claudeに「どの立場・観点から考えてほしいか」を伝える書き方です。 難しい設定は必要なく、普段のチャットに一文足すだけで試せます。
| したいこと | 伝え方の例 | 大切な補足 |
|---|---|---|
| 文章を読みやすくしたい | 「初心者向け教材の編集者として」 | 専門用語や説明順を確認すると指定する |
| 読む人の疑問を探したい | 「初めて購入するお客様の立場で」 | 商品情報のどこが不明かを挙げてもらう |
| 丁寧な返信案を作りたい | 「問い合わせ窓口の担当者として」 | 事実と未確定事項を渡す |
| 数字の資料を確認したい | 「資料の確認担当として」 | 計算や出典を別に照合する |
| 単純に要約したい | 役割なしで「3行で要約して」 | 役割は必須ではない |
まずは「役割+してほしい仕事」から始め、必要なら相手・前提・答えの形を足します。「プロの専門家として」などの肩書きだけを大げさにしても、正確性は保証されません。
イメージ
1. Claudeへの「役割指定」は何が変わる?
同じ文章でも、読む立場によって気になる点が違います。
たとえば、商品案内を見たとき、編集者なら「文章が長い」、初めて買う人なら「送料が分からない」、問い合わせ担当者なら「質問されそうな条件が書かれていない」と考えるかもしれません。
Claudeへ役割を伝えると、こうした着目点・説明の順番・言葉づかいを調整しやすくなります。Anthropicの公式プロンプトガイドでも、用途に応じた役割を与える方法が紹介されています。
ただし、次の4つは分けて考えます。
| 項目 | 指示する内容 | 例 |
|---|---|---|
| 役割 | どの立場で考えるか | 初めて買うお客様の立場で |
| 仕事 | 何をするか | 商品説明の分かりにくい点を挙げる |
| 前提・制約 | 何を材料にし、何を守るか | この商品情報だけを使う。価格は推測しない |
| 出力形式 | どう返すか | 重要な順に3点、理由付きで |
役割は答えの見方を決める材料であり、仕事や前提の代わりにはなりません。 「あなたは編集者です」だけでは、校正するのか、構成を直すのか、新しい文章を作るのか決まらないからです。
正確には
2. パソコンのClaudeで役割を指定する手順
特別な「役割設定」ボタンを探す必要はありません。普段のチャットで試せます。
- ブラウザでClaude公式サイトを開き、利用中のアカウントでログインします。
- 新しいチャットを開きます。既存の会話でも依頼できますが、最初の練習は新しいチャットのほうが分かりやすくなります。
- 入力欄に役割・仕事・必要な条件を書きます。
- 送信して回答を確認します。
- 希望と違った部分があれば、同じチャットで「今度は専門用語だけ確認して」「修正理由も付けて」と追加します。
最初は、次のまま入力しても構いません。
あなたは初心者向け教材の編集者です。
次の文章で、分かりにくい言葉を指摘してください。
指摘した言葉ごとに、やさしい言い換えを1つ提案してください。
文章:
「このアプリはクラウドにデータを同期します。」
無料プランでも、通常のチャットで文章による役割指定を試せます。 有料プランの契約や開発者向けAPIの設定は、この練習には必要ありません。利用できる回数などの制限はアカウントによって異なります。
なお、Claudeの開発者向け資料にある「system prompt(システムプロンプト)」と、通常のチャット欄に「あなたは編集者です」と入力することは同じ操作ではありません。ここで行うのは、利用者が会話の中で伝える指示です。
3. 役割あり・なしを、同じ質問で比べてみよう
役割による違いを確かめるなら、元の文章・頼む作業・答えの形式を同じにして、役割の一文だけを変えるのがポイントです。
以下は、比較のために用意した架空の案内文です。Claudeから実際に取得した回答例ではありません。
比較に使う案内文
新しい定期便を始めました。 毎月1回、コーヒー豆をお届けします。 お申し込みはホームページからどうぞ。
A:役割を指定しない
次の案内文について、読む人が疑問に思いそうな点を3つ、
理由付きで挙げてください。
案内文:
新しい定期便を始めました。
毎月1回、コーヒー豆をお届けします。
お申し込みはホームページからどうぞ。
B:役割だけを指定する
あなたは、この定期便を初めて申し込むお客様です。
次の案内文について、読む人が疑問に思いそうな点を3つ、
理由付きで挙げてください。
案内文:
新しい定期便を始めました。
毎月1回、コーヒー豆をお届けします。
お申し込みはホームページからどうぞ。
2つを別々の新しいチャットで試し、同じモデルが選べるなら同じものを使ってください。すでに役割や前提を登録した設定・Projectがある場合、その影響にも注意します。
比べるのは、たとえば次の点です。
- 送料・価格・解約方法など、購入前の疑問が具体的に出ているか
- 文章の改善案に寄りすぎず、読む人の視点になっているか
- 書かれていない料金や契約条件を、事実のように決めつけていないか
Bのほうが必ずよい回答になる、という実験結果ではありません。AIの回答は毎回同じとは限らず、役割を付けなくても有用な疑問が挙がる場合があります。「自分が知りたい観点に近づいたか」で判断しましょう。
4. 役割を使うなら、この短い型から始める
役割指定に決まった呪文はありません。次の4つから、必要なものだけ書けば十分です。
役割:あなたは〇〇の立場です。
- 仕事:△△を依頼する。
- 条件:□□を優先し、書かれていない事実は作らない。
- 出力:◇◇の形で答える。
対象: (元の文章や資料)
たとえば記事の導入文を直したいなら、こう書けます。
あなたは、生成AIを初めて学ぶ人向け教材の編集者です。
次の導入文を、初心者にも自然に読める文章に直してください。
条件: ・専門用語には短い説明を付ける ・元の意味を変えない ・書かれていない機能や料金を追加しない
出力:
- 修正した文章
- 主な修正理由を3点
導入文: (ここに文章を貼る)
「編集者」という肩書きだけでなく、何を優先し、何を変更してはいけないかが伝わります。
「この文章を100文字以内にして」のような簡単な作業なら、型を全部埋める必要はありません。まず短く頼み、足りなかった条件だけ追加する方法も有効です。
5. 仕事で使える役割指定の例3つ
例1:文章を校正する担当者
あなたは日本語の校正担当です。
次の案内文を確認し、 ・誤字脱字 ・意味が分かりにくい言い回し ・重複した表現 を指摘してください。
修正案と、直した理由を並べてください。 日付・金額・商品名は勝手に変えないでください。
案内文: (ここに文章を貼る)
この例では、「校正担当」という役割に確認対象を3つ加えています。「よい感じにして」だけより、修正してよい範囲を判断しやすくなります。
例2:初めて利用するお客様
あなたは、このサービスを初めて申し込む利用者です。
次のサービス説明を読んで、 申し込み前に確認したくなることを5つ挙げてください。
・説明文だけから分かること ・説明文には書かれていないこと を分けてください。
サービス説明: (ここに公開予定の説明文を貼る)
これは文章を書き換える依頼ではなく、読み手が迷いそうな点を洗い出す依頼です。想像した利用者の反応であり、実際の顧客アンケートの結果ではありません。公開前には実際の利用者の声とも照らし合わせましょう。
例3:問い合わせ窓口の担当者
あなたはネットショップの問い合わせ窓口担当です。
お客様に送る返信案を、自然で丁寧な敬語で作ってください。
お客様の質問:
「注文した商品は、いつ発送されますか?」
現在分かっていること:
・発送予定日は担当部署で確認中
・確認でき次第、改めて連絡する
条件:
・確認中であることを明確に伝える
・発送日を推測して書かない
・値引きや補償の約束を追加しない
・4文以内にする
窓口担当という役割だけでは、実際の発送日は分かりません。確定した情報だけを使って返信案を作ることが重要です。送信前に人が内容を確認してください。
6. 「役割」と「口調」と「前提条件」を混ぜない
回答が期待と違ったとき、必ず役割を変更する必要はありません。何が合っていなかったかに応じて、直す指示を変えます。
| 困っていること | 追加する指示の例 |
|---|---|
| 見る観点が違う | 「初めて買う人の立場から確認して」 |
| 言葉づかいが硬い | 「自然な敬語で、かしこまりすぎずに」 |
| 重要な条件を見落とす | 「送料と解約条件を優先して確認して」 |
| 長すぎる | 「結論と理由だけ、各3行以内で」 |
| 知らない事実を補っている | 「不明なことは不明と書いて。推測で補わないで」 |
たとえば「あなたはWeb編集者です」は役割、「読む人は初心者です」は前提、「丁寧な敬語で」は口調の指定です。
役割を固定したまま、口調や出力形式だけを変えることもできます。同じチャットで「内容は変えずに、もう少し短く」と伝えれば、毎回最初から書き直す必要はありません。
また、「税理士として答えて」「弁護士として確認して」と入力しても、Claudeが有資格者になったり、専門家の確認を受けたりしたことにはなりません。法律・税金・医療・契約など重要な判断は、一次情報や実際の専門家で確かめましょう。
7. よく使う役割は、設定やProjectsに残せる
一度きりならチャット欄への入力で十分です。同じ観点で何度も相談するなら、使う範囲に合わせて指示を保存できます。
| 役割を使う範囲 | 向いている場所 |
|---|---|
| 今回の質問だけ | 通常のチャット |
| 自分のほぼすべての会話 | Instructions for Claude |
| 特定の案件・テーマの会話だけ | Project instructions |
すべての会話に共通する場合
Anthropic公式ヘルプでは、Settings(設定)→Instructions for Claudeに共通の指示を登録できます。設定画面の項目や表示位置は更新される場合があるため、「Instructions for Claude」を目印に探してください。
たとえば、次のような共通ルールが向いています。
日本語で回答してください。
初心者にも分かるように説明してください。
専門用語には1文の説明を付けてください。
事実と推測を分けてください。
これは「編集者として考える」という個別案件の役割よりも、普段の回答全体に共通する好みです。
特定の案件だけの場合
ClaudeのProjectsでは、案件ごとに指示を設定できます。
- Claudeで「Projects(プロジェクト)」を開きます。
- 対象のプロジェクトを作るか、既存のプロジェクトを開きます。
- 「Set project instructions(プロジェクトの指示を設定)」を選びます。
- その案件で使う役割・判断基準などを入力し、保存します。
たとえば採用サイト制作のProjectなら、「採用広報の編集者として、応募者が理解しにくい表現を見つける」と設定できます。Project instructionsはそのプロジェクト内のチャットで使うためのもので、すべての通常チャットを同じ役割にする設定ではありません。
2026年10月12日に確認したProjectsの公式ヘルプでは、Projectsは無料アカウントでも利用でき、無料ユーザーは最大5つまで作成可能と案内されています。なお、プロジェクトの名前・説明を書くだけで、その説明がClaudeに自動的に渡るわけではありません。共通して使いたい重要な条件は、Project instructionsやプロジェクトの資料へ明示してください。
8. 役割を付けても期待どおりにならないとき
まずは役割の名前を強くするのではなく、次の順に確認します。
- 仕事は具体的か:「改善して」ではなく「導入の専門用語を3つ指摘して」など、対象と作業を絞ります。
- 材料が足りているか:実際の商品説明や元の文書を渡します。渡していない資料を読んだ前提にしないでください。
- 判断基準が明確か:「初心者向け」「価格は変更しない」「理由を挙げる」などを足します。
- 保存済みの指示と衝突していないか:Instructions for ClaudeやProject instructionsに、別の役割・口調を設定していないか確認します。
- 回答の正しさを確認したか:自然な文章でも、数字・事実・出典が誤っていることがあります。
特に、実在する会社の機密情報や顧客の個人情報を例文として入力する必要はありません。練習なら架空の内容や伏せ字に置き換えましょう。仕事の資料を使うときは、所属先の利用ルールに従ってください。
役割を付けた結果「専門家らしい断定」が増えても、それ自体は品質向上の証拠ではありません。根拠が確かめられるか、目的に合っているかで採用を判断します。
よくある質問
やってみよう
判断クイズ
第1問
Claudeに「あなたは校正担当です」とだけ伝えたところ、望む修正になりません。最初に足すとよい指示はどれでしょう?
- A. 「世界一の校正担当です」と肩書きを強くする
- B. 「誤字と分かりにくい表現を確認し、修正理由も示して」と作業を指定する
- C. 同じ言葉を10回繰り返す
第2問
「役割を付けた効果」を比べたいとき、適切な方法はどれでしょう?
- A. 役割だけ変え、元の文章・頼む仕事・回答形式は同じにする
- B. 役割・元の文章・質問内容を全部変える
- C. 役割付きのほうが必ず正確だと決める
第3問
特定のWeb制作案件でだけ「初心者向けの編集者として考える」という指示を毎回使いたい場合、どれが向いていますか?
- A. すべての会話へ適用するInstructions for Claude
- B. その案件のProject instructions
- C. 毎回APIの設定を変更しないと使えない
あわせて読みたい
- Claudeに質問するコツ(初心者向け) — 役割指定以前に、何をしてほしいかを伝える基本
- Claudeに前提条件を伝える書き方 — 読み手・目的・制約・資料の伝え方
- Claudeに「もう少し短く」「もっと丁寧に」と頼む方法 — 役割はそのまま、長さや口調だけを直す方法
締めに
まとめ
Claudeへの役割指定は、「どの立場・観点で考えてほしいか」を短く伝える方法です。
最初は「初心者向けの編集者として、分かりにくい言葉を指摘して」のように、役割と仕事を一緒に書くだけで十分。違いを確かめたいときは、元の文章と作業をそろえて比較しましょう。
同じ役割を繰り返し使うならInstructions for ClaudeやProject instructionsを利用できます。ただし、どの役割を与えても、事実確認や最終判断まで自動的に保証されるわけではありません。