音声認識(Speech-to-Text)
この記事は約6分で読めます
ざっくり言うと
音声認識(Speech-to-Text、略してSTT)とは、人が話した声をコンピューターが文字に変える技術です。
録音した会議やインタビューを渡すと、話した中身がテキストになって返ってきます。
会議の文字起こし、動画の字幕、スマホの音声入力。気づかないうちに、毎日のように使っている技術です。
イメージ
かかる時間や精度は、音声の長さ・品質・言語・使うサービスによって変わります。認識結果はそのまま完成原稿ではなく、人が聞き直す作業を減らすための下書きです。
反対向きの技術が、音声合成(Text-to-Speech、TTS)です。文字を声に変えるもので、読み上げ機能などがこれにあたります。STTとTTSはちょうど逆の関係なので、セットで覚えておくと混ざりません。
正確には
音声認識は、英語でAutomatic Speech Recognition(ASR)、またはSpeech-to-Text(STT)と呼ばれる技術です。マイクから入った音の波形を解析し、それがどの言葉のどの音なのかを推定して、テキストとして出力します。
公式に提供されている主要なサービスでは、機械学習やニューラルネットワーク(たくさんの例から規則性を学ばせる仕組み)を使い、音そのものと前後の文脈から文字列を推定しています。モデルの作り、対応している言語、雑音への強さは、サービスによって違うのがふつうです。
代表的なサービスと、公式が挙げている特徴
| 名前 | 提供元 | 特徴(公式情報より) |
|---|---|---|
| Whisper / OpenAI Audio API | OpenAI | Whisperは多言語の音声認識と、英語への翻訳に対応。Audio APIでは、Whisper系以外の文字起こしモデルも案内 |
| Google Cloud Speech-to-Text | Google Cloud | 音声を送って文字起こしを受け取るAPI。短い音声・長い音声・ストリーミングのガイドを提供 |
| Azure Speech in Foundry Tools | Microsoft | リアルタイム・高速・バッチの文字起こしと、分野に合わせるCustom Speechを提供 |
| Amazon Transcribe | AWS | 録音音声のバッチ処理とストリーミング処理、話者の分離や言語カスタマイズを提供 |
対応している言語の数や機能の細かい内容は、各サービスの更新で頻繁に変わります。使う前に、その会社の公式ドキュメントの最新ページで確認する癖をつけておくと安心です。
声が文字になるまでは、大きく3段階です
大まかにいうと、次のような流れです。実際の構成はモデルごとに違い、処理を何段にも分ける古典的な方式と、音声から文字列をまとめて予測するend-to-end方式があります。
- 音声を、扱いやすい区間や数値の形へ変換する
- 学習済みのモデルが、音の特徴と文脈から文字列を予測する
- 必要に応じて、句読点・時刻の情報・話者の区分などを付けて出力する
たとえばWhisperは、音声を一定の長さの区間に切り、log-Mel spectrogram(音の特徴を数値で表したもの)へ変換します。そこからencoder-decoder Transformerで文字列などを予測するend-to-endの構成だと、公式に説明されています。この仕組みを、全サービス共通の内部構造だとは考えないでください。
使う場面
個人事業主の仕事では、こう使えます
長い音声ほど、下書き作成の負担は減らしやすくなります。一方で、確認にかかる時間は録音品質や固有名詞、話者の重なりで変わります。効果を見るときは、音声の長さだけでなく、人がどこまで修正したかも一緒に測りましょう。
注意点
議事録として残す場合も同じです。その用途に必要な精度を先に決め、固有名詞・数字・話者・決定事項を確認してから正式な記録にしましょう。
音声には、文字より踏み込んだ情報が残ります
音声には、誰が何を話したかがそのまま残ります。文字だけの記録より、ずっとセンシティブな情報です。
関連用語
- 音声合成(Text-to-Speech) — 文字を声に変える、音声認識とちょうど逆向きの技術です。
- マルチモーダルAI — 文字・画像・音声など、複数の種類の情報をまとめて扱えるAIの性質です。
- OCR(文字認識) — 画像やPDFに写った文字を、検索もコピペもできるテキストに変える技術です。
やってみよう
よくある質問
- Q. 音声認識(Speech-to-Text)とは何ですか?
- A. 人が話した声を、コンピューターが文字に変える技術です。録音した会議やインタビューを渡すと、話した中身がテキストになって返ってきます。
- Q. 音声認識は、どんな仕事に使えますか?
- A. 会議の文字起こし、インタビュー原稿の下書き、動画の字幕づくり、音声メモのテキスト化などです。長い音声ほど、下書き作成の負担は減らしやすくなります。
- Q. 文字起こしの結果は、そのまま議事録にしてよいですか?
- A. そのままでは使えません。認識結果は、人が聞き直す作業を減らすための下書きです。固有名詞・数字・話者・決定事項を確認してから、正式な記録にしてください。
- Q. 会議の録音を、クラウドの文字起こしに送っても大丈夫ですか?
- A. 利用規約とデータの取り扱いを確認してからにしてください。録音の中身はサービス側のサーバーへ送られます。録音の前に、利用目的・利用範囲・クラウドへ送るかどうか・保存期間を参加者へ説明します。
公開: 更新: ✓ 公式情報と照合:
参考ソース
- OpenAI - Introducing Whisper(公式情報)
- OpenAI API - Speech to text(公式情報)
- Google Cloud - Speech-to-Text documentation(公式情報)
- Microsoft Azure - Speech to text overview(公式情報)
- AWS - What is Amazon Transcribe?(公式情報)
- AWS AI Service Cards - Amazon Transcribe(公式情報)
- Google Cloud - Measure and improve speech accuracy(公式情報)
- 個人情報保護委員会 - 通話内容と録音に関するFAQ(公式情報)
判断クイズ
打ち合わせの録音を文字起こしに回す前に、確かめることが言えますか?
3問です。答えるとその場で解説が出ます。全問終えたら、「回答を記録する」で学習の記録に残せます。
全問に答えると、回答を記録できます。
残るのは「答えたかどうか」だけで、正解数は保存されません。この端末の中だけに残り、別の端末には引き継がれません。
この教科書は無料で全文公開しています。仕事で使えるところまで進みたい方は、実習と資料がそろった生徒プランをどうぞ。
あわせて読みたい
- AI基礎 | AIの種類と仕組み約5分
マルチモーダルAI とは(テキスト+画像+音声)
文字だけでなく、画像や音声も一緒に渡せるAIを「マルチモーダルAI」と呼びます。1種類しか扱えないAIとの違い、何を渡すと何が返ってくるのか、主なAIの対応状況を、公式の資料に沿ってやさしく整理しました。内容を見る - ChatGPT | 便利な機能・小ワザ約7分
ChatGPTの音声入力で議事録を取る
ChatGPTのスマホアプリでマイクを使い、打ち合わせの内容を声で吹き込んで文字に起こし、そのまま議事録の形に整えるまでの手順です。録音の同意の取り方や固有名詞の伏せ方など、仕事で使うときの注意点もまとめました。内容を見る - Gemini | 便利な機能・小ワザ約6分
Geminiの音声入力で議事録を取る
Geminiのマイクアイコンに打ち合わせの要点を声で吹き込み、文字になったメモをそのまま議事録の形に整えてもらう手順です。会議を丸ごと自動でメモするGoogle Meetの機能との違いもまとめました。内容を見る