テキストから動画生成(Text-to-Video)
この記事は約7分で読めます
ざっくり言うと
テキストから動画生成(Text-to-Video)とは、ほしい映像の中身を文章で伝えると、AIが動画を作ってくれる技術です。文章から1枚の絵を作るのがテキストから画像生成(Text-to-Image)で、その動画版にあたります。
代表例は、OpenAIのSora 2やGoogle DeepMindのVeo 3.1です。ほかにRunwayのGen-4.5、xAIのGrok Imagine Video 1.5などもあります。
作れる動画の長さは、モデルや機能ごとに違います。
イメージ
例えるなら、注文を受けてから短い映像を1本だけ撮ってきてくれる、小さな撮影スタッフです。台本(プロンプト)を渡すと、そのカットを作って届けてくれます。
映画を丸ごと作ってもらう道具ではありません。素材になる短いショットを何本も用意してもらう使い方が、今のところは近いです。
正確には
Text-to-Videoは、文章で書いた指示(プロンプト)を読み取り、その内容に合う動画を作る技術をまとめて呼びます。動画の中身は、少しずつ違う絵を時間の順に並べたもの(フレーム列)です。
Text-to-Imageが作るのは、1枚の絵だけです。Text-to-Videoでは、そこに動きと時間のつじつまを合わせる仕事が加わります。そのぶん、技術的なハードルが一段上がります。
よく名前が挙がるモデル
| サービス / モデル | 提供元 | 位置づけ |
|---|---|---|
| Sora 2 | OpenAI | テキストや画像をもとに動画を生成するOpenAIの動画生成モデル |
| Veo 3.1 | Google DeepMind | 映像と音声を生成できるGoogle DeepMindの動画生成モデル |
| Gen-4.5 | Runway | 動き・指示追従・映像品質を重視したRunwayの動画生成モデル |
| Grok Imagine Video 1.5 | xAI | APIとGrokのImagine機能で提供される動画生成モデル |
Stability AIのStable Video Diffusionのように、文字ではなく画像を起点にするもの(Image-to-Video)もあります。受け付ける入力の形は、サービスごとに違います。「動画生成AI」という呼び名だけを見て、文章から作れると決めつけないでください。
各モデルの最新仕様、作れる秒数、解像度、利用条件、料金は更新がとても速いため、使う前に各社の公式ページで確かめてください。
GoogleとxAIの最近の発表から
2026年7月時点の発表を、時期と条件つきでまとめます。
- Google(2026年7月16日)
Google Vidsに、Gemini Omni Flashによる動画クリップの生成と、文章で既存の動画を編集する機能を追加しました。同じ時期に、顔と声を録画して自分のAIアバターを作る機能も発表されています。Google Vidsの対象プラン・年齢・言語・地域に条件があり、Veoモデル全般やGeminiアプリの全利用者への提供という意味ではありません。録画したデータは、Googleアカウントで別に管理されます。 - xAI
Grok Imagine Video 1.5をAPIで一般提供しています。GrokのWeb・iOS・Androidでは高速版が提供され、公式発表では高速版の例として6秒・720pの動画生成が示されています。
選べる長さや解像度は、使う経路とモデルごとに確認してください。
画像生成との一番の違いは、時間のつじつま
静止画なら、絵として成立しているかだけを見れば大丈夫です。動画では、次の3つも問われます。
- フレームどうしのつながり
1秒目と2秒目で、同じ犬が急に別の犬に変わらないか - 物理っぽさ
物が自然に動くか(コップが空中で止まったり、足が逆に曲がったりしないか) - カメラワーク
視点の移動がガクつかないか
絵が描けるだけでは足りません。短い映像をどう見せるかまで、AIが受け持つことになります。ここが、計算に時間もお金もかかる理由です。
静止画より時間もお金もかかります
理由は単純です。フレームの枚数のぶんだけ絵を描き、しかも全部のつじつまを合わせる必要があります。数秒の動画でも、内部では数十枚から数百枚の絵を、整合性を保ったまま作っているイメージです。
その結果、次のようなことが起きます。
- 待ち時間は、生成する長さ・解像度・モデルによって変わります
- 料金の数え方は、APIの秒数課金やクレジット制など、サービスごとに違います
- 失敗して作り直したぶんも、利用量を消費することがあります
画像生成と同じ感覚で何度も作り直すと、クレジットがあっという間に減っていきます。
使う場面
個人事業主の活用例
いっぽうで、今のところ向いていない使い方もあります。
- 自分や有名人など、特定の人物を主役にした長い動画。同じ顔を保つのが難しく、肖像権や規約の問題もあります。
- 文字・ロゴ・商品名を正確に表示すること。動画生成AIは、文字を苦手とすることが多いです。
- 複数のカットにまたがる長い物語。1回で作れる長さや、人物・物の一貫性には、モデルごとに限界があります。
- 医療・法律・金融など、誤りがそのまま被害につながる解説動画。中身の正しさをAIが保証してくれるわけではありません。
実写の撮影を置き換えるというより、素材サイトのストック動画を自分で用意するイメージです。この距離感で使うと、今のところ扱いやすいです。
注意点
仕事で使うときの最低限
技術としておもしろいのは間違いありません。ただし、「作れる」と「公開していい」は別の話です。
商用で使う前に、そのサービスの利用規約と、動画を出す先のプラットフォームの規約を、両方確かめるクセをつけてください。
関連用語
- テキストから画像生成 — 文章から1枚の絵を作る技術です。動きが要らないなら、こちらで足りることも多いです。
- プロンプト — 何をしてほしいかをAIへ伝える指示文です。動画生成では、ほしい映像を書いた文章がこれにあたります。
- マルチモーダル — 文字・画像・音声・動画をまたいで扱えるAIの性質を指す言葉です。
- 生成AI — 文章や画像、動画を新しく作り出すAIをまとめて呼ぶときの言葉です。
やってみよう
よくある質問
- Q. テキストから動画生成(Text-to-Video)とは何ですか?
- A. ほしい映像の中身を文章で伝えると、AIが動画を作ってくれる技術です。文章から1枚の絵を作るテキストから画像生成の、動画版にあたります。
- Q. 画像を作るのと比べて、何が難しいのですか?
- A. 動きと時間のつじつまを合わせる仕事が加わる点です。フレームどうしのつながり、物の動きの自然さ、カメラワークまでAIが受け持つため、静止画より時間もお金もかかります。
- Q. 仕事ではどんな使い方が向いていますか?
- A. 長い動画を丸ごと作るより、短い素材をたくさん用意する使い方です。SNS投稿の冒頭のつかみ、商品ページの背景動画、教材の挿絵動画などが向いています。
- Q. できた動画は、そのまま仕事で公開していいですか?
- A. 作れることと公開していいことは別の話です。商用利用の可否や権利の扱いはサービスごとに違い、投稿先によってはAIで作ったことの開示が必要な場合もあります。
公開: 更新: ✓ 公式情報と照合:
参考ソース
- OpenAI - Sora 2(動画生成モデル APIドキュメント)(公式情報)
- Google DeepMind - Veo 3.1(公式情報)
- Runway - Research(Gen-4.5)(公式情報)
- xAI - Grok Imagine Video 1.5(公式情報)
- Stability AI - Stable Video Diffusion(公式情報)
- Google Workspace Updates - Gemini Omni in Google Vids(公式情報)
- Google Workspace Updates - Personal avatars in Google Vids(公式情報)
- Google Account Help - Create, use & manage your avatar(公式情報)
判断クイズ
「動画生成AIで作れます」と言われて、公開までの条件を確かめられますか?
3問です。答えるとその場で解説が出ます。全問終えたら、「回答を記録する」で学習の記録に残せます。
全問に答えると、回答を記録できます。
残るのは「答えたかどうか」だけで、正解数は保存されません。この端末の中だけに残り、別の端末には引き継がれません。
この教科書は無料で全文公開しています。仕事で使えるところまで進みたい方は、実習と資料がそろった生徒プランをどうぞ。
あわせて読みたい
- AI基礎 | AIってそもそも何?約8分
生成AIは何が苦手?(限界を知る)
生成AIが苦手なのは、今日変わった情報の確認、手元にない事実の補完、道具を使ったという証明、そして現実の判断と責任です。身近な失敗例から、この4つを見ていきます。内容を見る - AI基礎 | AIってそもそも何?約9分
なぜ今 AI が話題なのか?(ChatGPT 以降の衝撃)
2022年11月のChatGPT公開は、生成AIブームの大きな転機でした。その背景にあるTransformer、規模を大きくする研究、人の希望へ近づける調整、そして会話画面を、公式・研究機関の資料から順に整理します。内容を見る - Grok | ツール固有の機能約9分
Grok Imagineで画像を作る(旧Aurora)
Auroraは2024年に発表されたモデルの名前で、いまの画像・動画づくりはGrok Imagineとして提供されています。写実性と文字表現の強み、動画は最大15秒・720p、消せないウォーターマークまで解説します。内容を見る - Grok | ツール固有の機能約8分
GrokのImagine機能で動画を生成する
GrokのImagineは、文章や手持ちの画像から短い動画を作る機能です。作れる長さと解像度、SNS素材やイメージ共有での使いどころ、入力する素材の権利・実在の人の同意・商用利用のときの注意点を、初心者向けにやさしくまとめます。内容を見る