夕焼けの海を作ったのに、浜辺に人がいたり、隅に文字のような模様が出たりする。画像生成では、描いてほしいものを伝えるだけでは、思いどおりにならないことがあります。

そんなときに使うのが、ネガティブプロンプトです。欲しい景色の説明は残して、余計なものを減らす指定を加えてみましょう。

ざっくり言うと

ネガティブプロンプトは、画像生成AIへ避けたい要素を伝える方法です。専用の入力欄があるかどうかは、ツールによって違います。

まずは、使っている画像生成AIがどの書き方に対応しているかを確かめましょう。

ツール・しくみ避けたい要素の伝え方
Stability AIのStable Diffusion系対応する生成処理では、negative_promptという専用の入力項目を使う
Midjourney通常のプロンプトの末尾へ--noを付ける
Geminiの画像生成通常の文章で条件を伝える。望む場面を具体的に描写する方法も使える
その他の画像生成AI専用欄・通常の文章・独自の書式など、製品やモデルに合わせる

「ネガティブプロンプト欄が見つからないから使えない」と考える必要はありません。ふつうの文章で、入れたいものと避けたいものを伝えられるツールもあります。

イメージ

夕焼けの海に、人や文字が混ざってしまったら

お店のチラシの背景に、静かな海辺の画像がほしいとします。ところが、生成された画像には海水浴をする人や、看板のような文字が入っていました。

景色だけでよいのに、少し違いますよね。この場合は、夕焼けや海という希望を残しながら、人物や文字を避ける指定を加えてみましょう。

通常のプロンプト

描く対象や雰囲気を伝えます。

例は「海辺の夕焼け、雲、穏やかな波、写真風」です。

ネガティブプロンプト

画像に入れたくない要素を伝えます。

例は「人物、文字、ロゴ」です。

この2つを分けると、景色を変えたいのか、余計なものを減らしたいのかがはっきりします。入力する場所や書式は、次のサービス別の説明で見ていきましょう。

正確には

Stability AI/Stable Diffusion系では、専用の入力項目を使う

Stable Diffusionは画像を生成するモデルの1つです。Stability AIの公式例では、APIを含むStable Diffusion 3.5の説明にnegative_promptが登場します。

APIは、プログラムからAIの機能を呼び出すしくみです。ここでいうnegative_promptは単なる呼び名ではなく、生成処理に渡す入力項目に当たります。

画像生成モデルを動かす道具であるDiffusersにも、同じ名前の項目があります。Hugging Faceの公式ドキュメントでは、画像へ含めたくない内容を指定するものと説明されています。

画面から使うなら、通常欄とネガティブ欄を分ける

専用欄のあるツールで英語を使う場合は、次のように分けて入力できます。これは入力先の対応を示した例で、2行をまとめて1つの欄へ入れるものではありません。

入力先入れる内容の例日本語での意味
通常のプロンプト欄quiet beach at sunset, cinematic photography夕焼けの静かな海辺、映画のような写真表現
ネガティブプロンプト欄people, text, watermark人物、文字、透かしのような模様を避ける

Web画面に出る項目名は、使っているアプリによって異なります。「Negative Prompt」などの専用欄がなければ、そのモデルやアプリの入力方法を確認してください。

2026年10月3日に上記の公式資料で確認した内容です。Stable Diffusionという名前が付くすべての環境で、同じ入力欄や効果があるとは限りません。

Midjourneyでは、プロンプトの末尾へ--noを付ける

Midjourneyは、避けたい要素を--noの後ろへ書く形式です。複数ある場合は、カンマで区切って並べます。

たとえば、次は「夕焼けの静かな海辺の写真。人物・文字・船は避けて」という完成した入力例です。Midjourneyの画像生成用の入力欄で使ってください。

A photograph of a quiet beach at sunset --no people, text, boats

--noの前には描いてほしいもの、後ろには避けたいものを置きます。2026年10月3日に確認した公式のNoパラメータの案内に沿った書き方です。

複数の単語が、ひとまとまりで読まれるとは限らない

公式は、--noの後ろにある単語を、安全性の判定では1語ずつ読むと説明しています。たとえば--no modern clothingは、「現代的な服装を避ける」というつもりでも注意が必要です。

「clothingを避ける」とも読まれ、服を着ていない人物を求めたように判定される場合があります。服装を指定するなら、避ける衣装を並べるより、着せたい服を通常のプロンプトへ書きましょう。

たとえば「昔風の服にしたい」なら、「茶色い上着と白いシャツを着た人物」のように具体化できます。警告が出た場合も、単語をむやみに足すのではなく、作りたい画像を明確にするところから見直してください。

Geminiでは、欲しい状態を文章で描写する方法もある

Geminiの画像生成では、ふつうの文章で希望を伝えられます。Googleの公式画像生成ガイドは、避けたい物だけを挙げず、望む場面を具体的に書く方法を紹介しています。

公式では、これをsemantic negative promptsと呼んでいます。意味は「言葉で場面を説明し、避けたいものがない状態を伝える方法」と考えると分かりやすいでしょう。

「車なし」とだけ伝える

避けたい対象は分かりますが、どんな通りや風景がほしいのかは伝わりません。

避けたいものだけを増やしても、仕上がりの希望はあいまいなままです。

空っぽの静かな通りを描写する

「早朝の静かな住宅街。通りは空っぽで、朝日と街路樹の影が道路に広がっている」と伝えます。

車がないことに加え、時間帯や雰囲気も分かるため、欲しい場面を説明できます。

避けたいものを伝えるだけでなく、それがない場面をどう見せたいかまで説明してみましょう。

この根拠は、2026年10月3日に確認したGemini APIの画像生成ガイドです。Geminiアプリに専用のネガティブ欄があるという案内ではありません。

画像生成モデルごとに入力のしくみは違うので、Midjourneyの--noを、そのままGeminiへ移す必要もありません。Geminiで試す完成例は、最後の「やってみよう」に載せています。

よくある勘違い

指定すれば、必ず消えるわけではない

ネガティブプロンプトは、入れたくない物を確実に消すスイッチではありません。peopleと指定しても人影が残ったり、textを指定しても文字のような模様が出たりすることがあります。

Stability AIの公式説明でも、特定の物を除く効果は、プロンプトの構成や設定に左右されるとされています。使うモデルが変われば、同じ指定でも結果は変わるため、画像を見て確かめることが必要です。

長い「万能の定型文」を、最初から全部貼らなくてよい

画像生成の解説では、低画質、ぼやけ、手の崩れ、余分な指などを、英単語で大量に並べた例を見かけます。代表的な語はlow qualityやblurryなどです。

ただし、風景だけを作るのに手や指の条件まで加えても、いま困っていることとの関係が分かりにくくなります。モデルが得意な表現や、推奨する書き方も同じではありません。

まず普通に生成し、困った要素を1〜3個に絞ってみましょう。比較を始めるときは、そのうち1つだけを追加すると、変化を追いやすくなります。

使う場面

風景・商品写真・静物画で使う例

同じ「余計なものを入れたくない」でも、作りたい画像によって指定は変わります。

作りたい画像困っていること避けたい要素の例
夕焼けの風景人影が入るpeopleやperson(人物)
商品のイメージ画像余計な文字やロゴが出るtext, watermark, logo(文字・透かし風の模様・ロゴ)
花瓶やカップの静物画果物が追加されるfruit(果物)

これは単語の例なので、そのままどのツールにも貼れるわけではありません。専用欄ならそこへ入れ、Midjourneyなら--noの後ろへ付けてください。

Midjourneyで、果物を含めない静物画を作る例

描いてほしいものを「青い花瓶と白いカップ」に絞った例です。後半の--no fruitで、果物を避けるように指定しています。

A still life painting of a blue vase and a white cup on a wooden table --no fruit

商品写真などでは、まず何が主役なのかを具体的に書きましょう。避けたいものだけを並べても、描いてほしい商品や構図までは決まりません。

注意点

効果を確かめるときは、一度に変える条件を絞る

元の指示を残し、避けたい要素を1つ加えて、数枚の傾向を比べてください。

たとえば人物だけを減らしたいなら、次の順番が分かりやすいでしょう。

  1. 元のプロンプトで画像を作り、人物がどの程度出るかを見てください。
  2. ほかの文章は変えず、人物を避ける指定だけを加えましょう。
  3. モデルや画像サイズなどをそろえ、追加する前と後で数枚を比べてください。
  4. 人物が減ったかを確かめてから、必要なら次の条件を1つ加えましょう。

人物に加えて文字・動物・ぼやけの条件まで同時に変えると、どの指定が影響したか分かりにくくなります。1枚だけでは偶然の差もあるので、出やすさが変わったかを見るのがコツです。

変化が乏しければ、通常のプロンプトで構図や被写体を絞る方法も試してください。「人を消す」という指定にこだわるより、望む景色を伝え直すほうが進めやすい場合があります。

判断クイズ

第1問

Stable Diffusion系のツールで、画像に人物を出したくありません。

A. 必ず--no peopleと書く。
B. そのツールの専用欄や仕様を確認する。

第2問

長いネガティブプロンプトの定型文を見つけました。最初にどう試すと比較しやすいでしょうか?

A. すべての条件をまとめて追加する。
B. 困っている要素を1つ追加して比べる。

第3問

Geminiで車のない静かな通りを描きたい場合、どのような伝え方を試せますか?

A. 専用欄が見つかるまで何もできない。
B. 空っぽの静かな通りなど、欲しい場面を文章で伝える。

まとめ

ネガティブプロンプトは、画像に入れたくない要素を伝えるための考え方や機能です。専用の入力項目、Midjourneyの--no、Geminiで場面を説明する文章は、目的が似ていても書き方が異なります。

使っているツールの形式に合わせ、実際に困っている要素から少しずつ試してみましょう。出したいものの説明と、生成した画像の確認も合わせて行うと、調整の方向を見つけやすくなります。

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