ECで販売する商品はどう選ぶ?需要・利益・続けやすさの確認方法

ネットショップを始めるとき、「何が売れそうか」から商品を探したくなりますよね。
ただし、話題の商品や検索数の多い商品が、自分のお店の顧客に合うとは限りません。
利益が残るか、同じ品質で安定して届けられるかも、別に確かめる必要があります。
許認可や安全表示が必要な商品では、仕入れられることと、自分のお店で販売できることは別の問題です。
商品選びでは、売れそうかどうかだけを見ないでください。
利益、仕入れの安定性、品質、販売サービスの規約、日々の運用まで一緒に確認しましょう。
この記事では、感覚だけで商品を決めるのではなく、小さく試せる候補まで絞り込む方法を順番に紹介します。
1. 顧客と利用場面から考える

最初に決めるのは、売る商品の名前ではありません。
誰の、どんな場面の困りごとを助ける商品なのかを先に決めましょう。
「人気があるから」という理由だけで選ぶと、よそのお店が扱う似た商品との違いを説明できなくなりますよね。
まずは一人の顧客を思い浮かべ、次の質問へ答えてみましょう。
- 誰が使う商品か
- その人はどの場面で困っているか
- その困りごとを、今は何を使って解決しているか
- 今の方法の、どこが不便か
- 商品を買うとき、何を不安に感じるか
- 買ったあと、どんな状態になれば満足できるか
答えがそろったら、「誰が、どの場面で、何を解決する商品か」を一文にまとめましょう。
たとえば「収納用品」で止めず、「賃貸の狭い玄関で、工具を使わずに靴を整理したい人向け」のように、使う人と場面まで書き込んでみてください。
商品候補は、流行している商品から探すのではなく、顧客の困りごとと使う場面を自分の言葉で説明できる商品から残しましょう。
顧客像を細かく作り込みすぎる必要はありません。
問い合わせ、接客、レビューなど、実際に顧客が使った言葉から考え始めると、想像だけの顧客像になりません。
2. 需要の手掛かりを複数で確認する

需要があるかどうかは、検索数やSNSの投稿など、一つの情報だけで決めないでください。
別々の手掛かりを重ねて確認しましょう。
どこを見れば何が分かるのかを整理すると、次のようになります。
手掛かり | 主に確認すること | 注意点 |
|---|---|---|
検索語 | どんな用途や悩みで探されているか | 検索されても購入目的とは限らない |
モールの売れ筋 | 価格帯、品ぞろえ、レビュー数 | ランキングの仕組みは公開されない場合がある |
SNS | 使われている場面、言葉、見た目への反応 | 一時的な話題を続く需要と決めつけない |
レビュー | 満足、不満、返品につながった理由 | 極端な意見だけで判断しない |
問い合わせ・接客 | 買う前の不安と、何と比べているか | 件数が少ない場合は仮の答えとして扱う |
競合ショップ | 商品説明、送料、納期、品ぞろえ | 内容を無断で転載しない |
同じ悩みが複数の場所で繰り返し出てくるなら、その商品は検討する価値があります。
反対に、一つのSNS投稿だけが急に伸びている場合は、一時的な話題かもしれません。
流行っていると思って仕入れたのに、届くころには落ち着いていた。そんな話、聞いたことはありませんか?
調べる期間を変えてみて、同じ関心が続いているか確認しましょう。
需要を見るときは、商品名だけでなく、「小さい」「手入れが楽」「贈り物」など、用途や条件を表す言葉も拾いましょう。
「なぜこのお店で買うのか」を説明できない商品は、需要が大きくても価格の安さだけで比べられてしまいます。
品ぞろえへ加える前に、自分のお店で扱う理由をもう一度考えてみてください。
調べた日付、見た場所、気づいた内容はメモに残しておきましょう。
販売を始めたあとの結果と比べられます。
3. 1件あたりの利益を計算する

確認するのは売上ではありません。
1件売れたあとに手元へ残る金額を計算しましょう。
基本の考え方はこちらです。
1件あたりの利益 = 販売価格 − 販売に伴って増える費用 − 商品ごとに配分する固定費
販売に伴って増える費用には、次のような項目があります。
- 商品の仕入れ代金や製造費
- 梱包材と、箱に入れるチラシなどの同梱物
- 配送料と配送保険
- 決済、販売、振込などの手数料
- 広告費やクーポンの値引き分
- 不良品、返品、再発送、返金に備える費用
- 検品、梱包、問い合わせ対応にかかる作業時間
ネットショップサービスの手数料は、固定額、売上に応じた割合、決済方法ごとの料率など、計算方法がサービスによって違います。
送料も、届け先の地域、荷物のサイズ、冷蔵や冷凍などの温度帯、まとめ買いの有無で変わります。
平均だけでなく、いちばん負担が大きくなる注文でも試算してください。
売れたのに、送料と返品を引いたらほとんど残らなかった…。
これ、あとからいちばん効いてきます。
ふつうの注文だけでなく、遠方への配送、返品、再発送が起きたときの利益も計算しましょう。長く続けられる価格かどうかを判断しやすくなります。
自分の作業時間を0円として計算すると、注文が増えたときに手が回らなくなります。
最初はおおよその数字で大丈夫です。
1件の対応に何分かかるのか、その時間を誰が確保するのかまで書き出しておきましょう。
4. 継続して仕入・提供できるか

利益が見込めても、同じ品質の商品を届け続けられなければ、お店の定番商品にはできません。
仕入先へ確認しておきたい項目はこちらです。
- 在庫数と、その情報が更新される頻度
- 発注から入荷までの期間
- 一度に注文しなければならない最低数と、価格が変わる条件
- 品質の基準と検品の方法
- 不良品や欠品が出たときの連絡方法
- 返品、交換、再発送の条件
- 季節による入荷量の変動と、販売終了の予定
- 商品画像、説明文、商標を自分のお店で使ってよい範囲
最初は、送られてきた見本だけで判断しないでください。
見本と届いた商品で色が違う、なんてこともありますよね…。
実際の仕入れと同じ条件で少量を注文し、外装、表示、使い勝手、品質のばらつきを自分で確かめましょう。
安全に関わる商品では、必要な表示や許認可について、仕入先の説明をうのみにしないでください。
販売するお店の側でも確認する必要があります。
経済産業省のインターネット取引における製品の安全確保では、ネットで販売する場合も製品の安全を確保する必要があると案内されています。
PSマークの対象製品かどうかを確かめることも、そのひとつです。
PSマークとは、法律で指定された製品が、技術基準への適合など決められた条件を満たしていることを示す表示です。
仕入先から購入できる商品でも、必要なPSマークや許認可、表示がそろっていない商品や、リコール対象の商品を、そのまま販売してはいけません。
取り扱う予定の商品に事故やリコールの履歴がないかは、NITE SAFE-Liteや消費者庁リコール情報サイトでも確認できます。
どの法令が関係するかは、商品の分野によって異なります。
自分で判断できない場合は、その分野を担当する行政機関や専門家へ確認してください。
5. 規約・法令を確認して小さく試す

販売のテストは、販売サービスの規約と関係する法令を確認したあとに始めましょう。
試しに数点だけなら、と考えたくなりますよね。
ただし少しだけ売って試す場合でも、禁止商品の決まりや、必要な許認可がなくなるわけではありません。
2026年7月17日時点では、BASEとSTORESが、それぞれ販売できない商品やサービスを公式資料で定めています。
それぞれの公式ページはこちらです。
サービスの規約では販売できる商品でも、注意が必要な分野があります。
食品、化粧品、医療機器、酒類、古物(中古品)などは、商品や販売方法に応じて、別の法令、許可、届出、表示が関係する場合があります。
「ほかのショップで売っているから大丈夫」と判断しないでください。自分が使う販売サービスの最新の規約と、その商品分野を担当する公的機関の情報を確認しましょう。
条件を満たせる候補だけを残したら、商品を数点に絞って次の流れを試してみましょう。
- 自分で商品を使い、実物と説明文の内容が合っているか確認する
- 仕入れ値、送料、手数料、作業時間を記録する
- 自分で撮った画像と自分の言葉の説明を用意して、商品ページを作る
- 自分でテスト注文をして、注文通知、梱包、発送、問い合わせ対応の流れを確かめる
- 売れ行き、返品の理由、作業の負担を見て、続けるかどうかを判断する
販売サービスの規約や禁止商品は、サービス側の判断で変更されます。
ショップを公開する前と、新しい商品を追加する前には、公式資料を読み直しましょう。
商品ページの改善方法は、「EC商品ページ改善ガイド|売れない原因を見つけるチェックポイント」で説明します。
まとめ

ECで販売する商品を選ぶときの要点を振り返ります。
- 誰の、どんな困りごとを、どの場面で解決する商品かを一文で説明できる
- 検索、レビュー、問い合わせなど複数の手掛かりで需要を確かめる
- 仕入れ、送料、手数料、返品、作業時間まで含めて手元に残る利益を計算する
- 在庫、品質、納期、返品の条件を続けて管理できるか確認する
- 製品の安全基準、許認可、必要な表示、リコール情報を確認する
- 販売サービスの最新の規約を確認してから、少量で試す
まずは商品候補を一つ選び、「誰のどんな困りごとを、どの場面で解決するか」を一文にしてみましょう。
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