ざっくり言うと
ChatGPTに「営業メールを書いて」と頼むだけでも、文章は返ってきます。ただ、誰に何を伝えたいのかが抜けていると、自分の用事とは少しずれた内容になりがちです。
今回の答えを作るために、先に知っておいてほしい背景が「前提条件」です。相手との関係、使う目的、予算や期限、もとにする資料などが当てはまります。
その条件が変わると答えも変わるか、を目安に伝える情報を選びましょう。長く書けばよいわけではありません。まず、やってほしいことを書き、そのあとに今回必要な条件を添えてください。
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「営業時間のお知らせを書いて」に何を足す?
初めて一緒に仕事をする人へ、お店のお知らせを頼む場面を考えてみてください。「営業時間が変わると書いて」だけでは、変更日も新しい時間も分かりませんよね。
ChatGPTに次のように頼んだ場合も、同じことが起こります。
営業時間変更のお知らせを書いて。
これだけでは、足りない情報を質問されたり、仮の日時を含むひな型が返ったりすることがあります。誰に知らせるか、何が変わるか、どこへ載せるかを添えると、完成させたい文章が伝わりやすくなります。
次は、そのまま試せる架空のお店の例です。
架空のお店の案内文を作る練習です。
店舗のお客様向けに、営業時間変更のお知らせを書いてください。
2026年11月1日から、平日の閉店時間を20時から19時へ変更します。
Webサイトのお知らせ欄に載せる、200文字前後の文章をお願いします。
丁寧ですが、堅すぎない言葉にしてください。
変更の理由や土日の営業時間は、情報がないので補わないでください。
この例では、変更日と時間だけでなく、掲載場所、長さ、口調も決まっています。ChatGPTが自分で補う部分を減らし、あとで何を確かめればよいかも分かる頼み方です。
正確には
迷ったら、やってほしいことと4つの前提を書く
ChatGPTへ送る質問や指示を、プロンプトと呼びます。OpenAIの公式ガイドでも、明確な依頼と必要な背景、希望する口調を伝える方法が案内されています。
書き始めに迷うときは、「やってほしいこと・相手・目的・制約・使う資料」の順でメモしてみましょう。先ほどのお知らせを分けると、こうなります。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| やってほしいこと | 営業時間変更のお知らせを書いてほしい |
| 相手 | 普段から店舗を利用するお客様 |
| 目的 | 閉店時間が変わることを誤解なく伝えたい |
| 制約 | Web掲載用、200文字前後、丁寧だが堅すぎない文章 |
| 使う資料 | 2026年11月1日から、平日の閉店が20時から19時に変わる |
5項目を毎回埋める必要はありません。短い質問なら、普通の文章にまとめても大丈夫です。それぞれの項目を選ぶ意味を、もう少し見てみましょう。
相手を書くと、説明の難しさや言葉が決まる
「生成AIを初めて使う人」と「すでに仕事で使っている人」では、必要な説明が違います。初心者向けなら用語の説明から、経験者向けなら違いや注意点から始めてほしいですよね。
メールでも、初めて連絡する相手か、長く取引している相手かで書き出しが変わります。「3年ほど取引のある担当者に向けて」といった関係性も、役立つ前提です。
名前や連絡先がなくても、相手との関係は説明できます。下書きの段階では「取引先の担当者」「いつものお客様」のような表し方で十分です。
目的を書くと、何を優先するかが伝わる
同じ商品紹介でも、内容を知ってもらうための文章と、2つの商品を選び分けるための文章では、載せたい情報が変わります。
たとえば、「サービスの内容を理解してもらいたい。強く売り込む文章にはしない」と伝えれば、説明を中心にした下書きを頼めます。比較なら「違いを理解し、自分に合うほうを選びたい」と添えてください。
制約は、守ってほしい条件を具体的にする
「短く」「分かりやすく」だけでは、受け取り方に幅があります。次のように、確認できる形で条件を書いてみましょう。
| 曖昧な指示 | 具体的にした指示 |
|---|---|
| 短くして | 300文字以内で書いて |
| 安いものを選んで | 予算10万円以内で候補を比べて |
| 初心者向けにして | 専門用語を使うときは短い説明を添えて |
| 形を崩さないで | 元の見出しと順番は変えないで |
たとえば「この文章を分かりやすくして」だけなら、何を直せばよいかが曖昧です。元の文章を一緒に渡したうえで、次のように対象と長さを伝えられます。
この文章を、生成AIを初めて使う人向けに書き直してください。専門用語には短い説明を付け、800文字前後のWeb記事にしてください。
字数の指定が毎回ぴったり守られるとは限りません。上限が厳しい提出物では、返ってきた文章の字数も確認してください。
材料は、答えのもとにしてほしい情報
材料には、元の文章、商品情報、会議メモ、PDF、表、規約などがあります。すべてを渡すより、今回の作業で必要な部分から選びましょう。
たとえば営業時間の案内なら、変更日と新旧の時間があれば書き始められます。お店の沿革や、昔の商品紹介まで付ける必要はありません。
役割と前提条件は、組み合わせて使える
「Web編集者として確認してください」は、どんな視点で考えてほしいかを伝える指示です。「生成AIを初めて使う人向け」「公式サイトに掲載」「1,500文字以内」は、今回の仕事の条件に当たります。
役割だけを伝えても、今回の事情までは分かりません。次のように組み合わせると、確認する内容を絞りやすくなります。
架空の採用計画を考える練習です。採用担当者の視点で、未経験者向けのWeb制作アシスタント募集について考えてください。仕事内容は画像の差し替え、文章の修正、公開前の確認です。経験年数だけで判断せず、書類選考で確かめたい点を5つ挙げ、それぞれの理由を1文添えてください。この例では、役割に加えて、応募者の経験、職種、仕事内容、欲しい答えの数を伝えています。「専門家として答えて」だけよりも、今回の相談に合わせやすい書き方です。
役割そのものの使い方は、ChatGPTに役割を与えると回答が変わるで確認できます。
出力形式を決めると、そのまま使いやすくなる
前提を伝えたら、どんな形で返してほしいかも添えましょう。比較表が欲しいのに長い説明文が返ってくると、自分で並べ直す手間がかかります。
たとえば「AとBを比較して」なら、比較する項目と並べ方まで指定してください。架空のサービスを使うと、次のように頼めます。
架空のサービスAとBを比較してください。Aは月額1,000円、初期設定不要、個人向けです。Bは月額1,500円、初期設定が必要、3人まで共同編集できます。「料金」「始めやすさ」「共同作業」の3項目で比較表を作り、そのあと主な違いを3点で説明してください。書かれていない機能は推測しないでください。文章の修正なら「修正前と修正後を並べ、理由を添える」、案内文なら「結論を最初に、300文字以内」も使えます。自分が次にどこへ貼るのか、どう確認するのかを考えて形を選んでください。
資料を渡すときは、何をどう使うかまで伝える
PDFを2つ添付して「見てください」とだけ頼むと、要約が欲しいのか、違いを探したいのかが伝わりません。資料の役割と、やってほしい作業を分けて説明しましょう。
新旧の料金表なら、次の4点を先に決めると頼みやすくなります。
- どの資料が現行で、どれが新版なのか。
- どの項目やページを対象にするのか。
- 変更点だけを比べるのか、全体を要約するのか。
- 資料にない内容は推測せず、分からないと示してほしいのか。
添付資料を用意したあとの頼み方は、たとえばこうです。
資料Aは現在の料金表、資料Bは11月からの新料金表です。変更された項目だけを表にしてください。値上げの理由は、資料に書かれている範囲だけで説明してください。
この例は、2つの資料を実際に添付してから使う指示です。資料がないまま送っても比較はできないので、添付が表示されているかを先に確かめましょう。
大事な判断では、根拠の場所も示してもらう
料金や契約、社内ルールを確認するときは、結論に加えて「どの記載を使ったか」も求めてください。ページ番号や見出しがあれば、元の資料へ戻りやすくなります。
たとえば契約書の確認なら、「解約に関する記載を先に整理し、該当ページを示してから説明して」と頼めます。答えに根拠が付いていても、引用箇所と説明が合っているかは自分でも照合してください。
前提の置き場所は、使う範囲で選ぶ
毎回「日本語で、結論から」と打つのは手間ですよね。繰り返し使う内容は、使う範囲に応じて置き場所を分けられます。
| 使う範囲 | 置き場所 | 内容の例 |
|---|---|---|
| 今回だけ | 今のメッセージ | 今日の予算、今回の期限、例外条件 |
| 今の話の続き | 同じチャット | 直前の文章の修正、条件の追加 |
| 普段の回答で共通 | カスタム指示 | 日本語で、結論から、用語には説明を添える |
| 特定の仕事やテーマ | Projects | 案件資料、表記ルール、作業の方針 |
| 継続的な好みや背景 | Memory | よく扱う話題、自分の好み |
ここからの機能と操作は、2026年10月3日に公式ヘルプと照合しました。表示名は更新や端末で変わるため、画面が違う場合は各節の公式手順を参照してください。
普段から共通する希望はカスタム指示へ
Custom Instructions(カスタム指示)は、考慮してほしいことを自分で登録する機能です。公式ヘルプでは、全プランで利用できると案内されています。
Web版とデスクトップ版では「設定」から「Personalization」を開き、カスタマイズを有効にして指示を入力してください。スマホアプリでは、設定の「Customize ChatGPT」が入口です。
登録内容は、次のような普段の希望から始められます。
回答は日本語にしてください。最初に結論を短く書き、専門用語には短い説明を添えてください。
「今回だけ予算5万円」「明日までに提出」といった一時的な条件は、ここへ入れず、今のチャットに書くほうが整理しやすくなります。残したままだと、別の用事でも同じ条件を考慮されることがあるためです。
公式の設定説明では、変更は既存の会話を含む全チャットへすぐ適用されるとされています。過去に作られた回答そのものが書き換わるわけではありません。
継続する仕事はProjectsにまとめる
Projects(プロジェクト)は、関連するチャット・資料・指示をひとまとめにする機能です。たとえば「A社ホームページ制作」なら、紹介文の相談、仕様書、商品資料、ブランドの表記ルールを置けます。
公式の作成手順に沿って、次の順で用意しましょう。
- サイドバーの「New project」を選び、仕事が分かる名前を付けてください。
- その仕事で使う資料を追加しましょう。
- プロジェクトの「…」から「Project settings」を開き、共通の指示を入力してください。
たとえば「この案件では商品名を省略しない」「仕様書にない機能は追加しない」と登録できます。次からは、そのプロジェクト内でチャットを始めると、関連する資料と指示を使った相談がしやすくなります。
プロジェクトの指示はその中だけに適用され、全体のカスタム指示より優先される仕組みです。今回だけの締切や資料の差し替えは、プロジェクト内でもメッセージに書いてください。
利用できる機能や資料数は、プランと会社の設定によって異なります。共有する場合は、参加者にも資料やチャットが見えることを考えて、追加する内容を選びましょう。
Memoryがあっても、今回の条件は明示する
Memory(メモリ)が有効なら、過去の会話などから、関連する好みや背景を回答に使うことがあります。ただし、公式ヘルプでは、会話の細部をすべて保持するわけではないと説明されています。
「いつもは予算10万円だけれど、今回は5万円」「以前の資料ではなく、今日の新版を使う」。こうした違いは、過去の背景だけでは分かりません。
今回の予算・締切・最新版の資料は、Memory任せにせず、その質問へ書きましょう。今日添付した資料を使いたいなら、ファイル名や版の日付も伝えてください。「最新版を使って」だけより、どれが正本かを明確にできます。
Memoryの確認は「設定」→「Personalization」→「Memory」から行えます。機能や設定はプラン・地域・端末・会社の設定によって異なり、同じ項目が全員に表示されるとは限りません。
前提や資料が増えたら、見出しで分ける
短い依頼は普通の文章で十分ですが、資料と条件が増えると、指示の区切りが分かりにくくなります。そんなときは、内容を削る前に、役割ごとに見出しを付けてみてください。
| 見出し | 入れる内容 |
|---|---|
| 目的・相手 | 新料金を、現在契約中のお客様へ知らせたい |
| 前提 | 2026年11月1日から料金が変わる |
| 資料 | 現行と新版の料金表。どちらか分かる名前を付ける |
| 制約 | 300文字以内。値上げ理由を推測で足さない |
| 出力 | 最初に案内文、そのあとに変更点を並べる |
このように分けると、自分でも条件の抜けに気づきやすくなります。末尾の練習では、新旧の料金と出力の指示を分けた、完成した入力例を試せます。
返答を見て、足りない条件を追加する
最初から完璧なプロンプトを作る必要はありません。OpenAIの公式ガイドでも、回答を見ながら依頼を調整する方法が勧められています。
先ほどのお知らせが堅すぎたなら、「内容と数字はこのままで、もう少しやわらかい言い方に」と続けてください。変更日が目立たなければ、「変更日を最初の段落へ」と頼めます。
何を残し、どこを変えるかが分かる指示にすると、意図した部分を直してもらいやすくなります。大事な条件が抜けた場合は、「11月1日から、平日の閉店が19時になる点を必ず残して」と具体的に補いましょう。
必要な前提を渡し、返答を見て、足りない条件だけ足していけば大丈夫です。まとめ
前提条件は、答えに影響する情報から選んでください。やってほしいことに、相手・目的・制約・材料を添え、欲しい形まで伝えるのが基本です。
普段の希望はカスタム指示、継続案件の資料はProjectsへまとめられます。それでも、今回だけの金額や期限、最新版の資料は、今のメッセージに書きましょう。
やってみよう
判断クイズ
第1問
ChatGPTにパソコンの候補を聞くとき、先に伝えると役立つのはどちらですか?
A. 予算、用途、持ち運ぶかどうか。
B. 今回の選び方と関係のない雑談を長く書く。
第2問
毎回「日本語で、結論から、専門用語には説明を」と頼んでいます。どこに登録すると便利ですか?
A. 今回だけの締切と一緒に、毎回必ず手入力する。
B. 普段から共通する希望として、カスタム指示へ登録する。
第3問
同じ仕事で、資料と文章のルールを何度も使います。どうすると整理しやすいですか?
A. 仕事用のProjectsに資料と指示をまとめる。
B. Memoryがすべての資料と最新版の条件を覚えていると考える。