この章のAI出力は一例です。同じプロンプトでも毎回同じ結果になるとは限りません。実務では、自分で事実と表現を確認してください。

共通の考え方:AIの出力ではなく、仕事の完了までを一つにする

どのレシピも、基本の流れは同じです。

  1. 使ってよい材料だけを準備する
  2. 目的、欲しい成果物、誰向けか、やってはいけないことを伝える
  3. AIの出力を元の材料と照らす
  4. 直す場所、直し方、残す場所を指定する
  5. 人が最終確認し、仕事で使える形にする

AIが担当するのは、整理、下書き、見落としの洗い出しです。お客様への約束、公開する事実、数字の解釈、最終判断は人が担当します。目的は、確認できる下書きを使って、仕事を最後まで終えることです。

ChatGPTでのやり方

新しいチャットで始めます。今回だけの日付、商品、対象者、条件はプロンプトへ書きます。修正時は「2段落目だけ」「数字と構成は変えない」のように範囲を指定してください。

Claudeでのやり方

Claudeでも流れは同じです。必要な資料と古い版の有無を確認して始めます。修正では変える部分と残す部分を伝え、最後は今回使った材料へ戻って確認してください。

レシピ3:お客様アンケートを分析して次の一手を決める

例にするのは、持ち帰り専門の架空のスープ店「スープ日和」です。店頭で集めた12件のアンケートから、すぐに結論を決めず、次に確かめる行動を選びます。

ステップ1:個人を特定できないデータへ整える

氏名、連絡先、回答日時など、分析に不要な情報は外します。自由記述に個人名や勤務先があれば、その部分も削除します。今回使う架空データは次のとおりです。

回答来店頻度満足度(5点満点)あったらよいもの自由記述
1月1〜2回5受取予約昼は列が気になる
2週1回以上4営業時間延長仕事帰りにも寄りたい
3初回来店4小さいサイズ2種類を少しずつ試したい
4月1〜2回3受取予約売り切れが心配
5週1回以上5新しいスープ月替わりがあるとうれしい
6月1〜2回4受取予約受け取り時刻を決めたい
7初回来店3小さいサイズ量を選べるとよい
8週1回以上5営業時間延長18時以降も買いたい
9月1〜2回4受取予約注文を先に済ませたい
10初回来店4新しいスープ辛くない種類も知りたい
11週1回以上3営業時間延長閉店に間に合わないことがある
12月1〜2回4受取予約待ち時間が分かると助かる

個人情報を除いた表をプロンプトの下へ貼る方法でも構いません。

ステップ2:集計と解釈を分けて依頼する

次のお客様アンケート12件を分析してください。

【目的】
すぐに設備やサービスを増やすのではなく、次に何を確かめるか決めることです。

【欲しい成果物】
1. 回答数と満足度の全体平均
2. 「あったらよいもの」の件数と割合
3. 自由記述に出ている内容の整理
4. データから直接言えること
5. このデータだけでは言えないこと
6. 費用を大きくかけずに試せる行動案を3つ

【やってはいけないこと】
- 12件を店のお客様全体の意見として扱わないでください。
- 来店頻度と希望の因果関係を断定しないでください。
- 自由記述から年齢、職業、生活状況を推測しないでください。
- 回答にない売上や利益への効果を作らないでください。
- 計算式を示し、事実、解釈、提案を分けてください。

【データ】
{上の表を貼る}

ステップ3:AIの分析結果を、元データと照らす

AIの出力例(要点)

  • 回答数:12件
  • 満足度平均:48点÷12件=4.0点
  • 受取予約:5件(41.7%)
  • 営業時間延長:3件(25.0%)
  • 小さいサイズ:2件(16.7%)
  • 新しいスープ:2件(16.7%)
  • 自由記述では、受取予約を選んだ5件すべてが、列、売り切れ、受取時刻、事前注文、待ち時間に触れている
  • 受取予約の希望が最も多いため、すぐに予約システムを導入するべき

件数と平均は元データから再計算できます。割合は「件数÷12×100」で確認します。一方、最後の「導入するべき」はデータそのものではなく、AIの提案です。費用、店内の作業、予約分の在庫管理は調べていないため、今すぐ導入する結論にはできません。

ステップ4:解釈の飛躍を、人が修正する

修正前修正後直す理由
お客様の41.7%が受取予約を望んでいる回答者12人のうち5人が受取予約を選んだ店全体を代表する調査ではないため
受取予約を導入すれば満足度が上がる受取予約と満足度の変化は、このデータからは分からない導入前後を比較していないため
初回来店の満足度が低い初回来店3人の平均は約3.7点。人数が少なく、傾向とは判断できない小さな差を一般化しないため
すぐに予約システムを導入する需要と店内負担を追加確認し、小さく試すか判断する費用と運用条件が未確認のため

アンケートへ回答したのは、来店して店頭で協力した12人です。来店をやめた人、時間が合わず来られない人の意見は含まれません。自由記述は理由を考える手がかりになりますが、選択肢の件数と同じ重さで数えないようにします。

ステップ5:次の一手を、期限と確認項目まで決める

AIから出た行動案を、そのまま全部実行する必要はありません。店の負担が小さく、結果を比べられる順に並べます。

  1. 2週間、状況を記録する:11時30分〜13時30分の待ち時間、売り切れで断った件数、事前注文の問い合わせ件数を、個人情報なしで記録する
  2. 次の30件で希望条件を確認する:予約を使いたいかだけでなく、希望する受取時間、商品確定のタイミング、当日変更の有無を選択式で聞く
  3. 条件が合えば小さく試す:記録と追加回答を見て、店の仕込みに無理がない件数・時間帯に絞った試行を検討する

行動案のビフォーアフター

修正前は「希望が最も多い受取予約を導入する」でした。人が直した完成形は、次のとおりです。

次の一手:まず2週間、昼の待ち時間、売り切れ件数、事前注文の問い合わせ件数を記録する。

判断日:2週間後の営業終了後

判断材料:
- 待ち時間が長くなる曜日と時間帯
- 売り切れで案内できなかった件数
- 受取予約を希望する追加回答の件数と希望時間
- 店側で予約分を分けて管理できる量

この材料がそろってから、時間帯と受付数を限定した試行を行うか決める。

この形なら、次に何を、いつまでに確かめるかが分かります。実際に試すときも、期間、受付数、確認する数字を先に決め、終わったあとに見直しましょう。