ざっくり言うと

Chain-of-Thought(チェーン・オブ・ソート)とは、AIに「いきなり答えを出さずに、考える手順を整理してから答えて」と頼むやり方のことです。略してCoT、日本語では連鎖推論と呼びます。

条件がこみいった問題では、この一言を足すだけで答えが安定しやすくなることが知られています。

合言葉として有名なのが、「ステップバイステップで考えて(let's think step by step)」という一文です。使い方は簡単で、いつもの指示の末尾にこの一行を足すだけです。

ただし最近のAIは、内側の考えをそのまま全部見せるとはかぎりません。人が読むための要約や根拠、手順という形で説明してくることも多いです。

長く考えさせれば必ず正しくなる、という魔法でもありません。途中の説明が長くても、最初の前提を読み違えていれば答えはずれます。慣れないうちは長い説明をありがたがらず、前提と結論が合っているかを見るほうが確実です。

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書き出しながら進めれば、自分でも途中の間違いに気づけますよね。CoTは、それをAIにやってもらうための頼み方です。

正確には

この手法を提案したのは、Google ResearchのWeiらが2022年に発表した論文(arXiv:2201.11903)です。対象になったのは、算数の文章題、常識をふまえた推論、記号の操作といった複雑な問題でした。途中の推論ステップを出力させると正解率が大きく改善した、と論文では報告されています。

Google Researchの公式ブログでも、「中間推論ステップを生成させることで、大規模言語モデルの推論能力を引き出せる」と紹介されています。あわせて、モデルが大きくなるほど効果が現れやすい性質(創発的な性質)として位置づけられています。

頼み方は大きく2種類

種類やり方例
Zero-shot CoTお手本は見せず、合言葉を一行足すだけ末尾に「ステップバイステップで考えてください」と書く
Few-shot CoT途中式つきの解答例を1〜数件見せてから本題を出す「まずAを計算し、次にBを計算し、最後に答えを出す」と例で見せる

Few-shotやZero-shotという言い方そのものは、CoTとは別の話です。お手本を見せるか見せないかを指す言葉で、詳しくはFew-shot / Zero-shot Learningにまとめています。CoTは、そのお手本の見せ方と組み合わせて使われることが多い、という関係です。

効きやすいのは、自分で解くなら手元にメモを取りたくなるような問題です。条件が3つ以上ある比較、計算と判断が混ざる相談、複数の案の良し悪しの整理などが当てはまります。逆に、言い換えや短い翻訳のような作業では、足しても回答が読みづらくなるだけのことがあります。

最近のAIは、頼まなくても内側で考えている

最近よく聞く推論モデル(reasoning model)は、回答の前に内側で長めの推論を行うよう訓練されたモデルです。OpenAIのoシリーズなどが、これにあたります。

OpenAIの公式ブログ「Learning to reason with LLMs」では、新しい推論モデルが回答前に長い思考の連鎖を生み出すよう訓練されている、と説明されています。ClaudeのAPIにも、回答の前に推論用の処理を行う機能があります。Thinkingという名前の機能です。2026年7月27日に確認した公式情報では、Opus 5はThinkingが既定で有効になっています。effortという設定で、思考を含む応答全体にかける労力を調整します。

昔は人が「ステップバイステップで考えて」と頼んでいたことを、最近のモデルは内側でより強く行うようになりました。これが大きな流れです。

ただし、ClaudeのAPIで表示される思考も、生のものではなく要約です。一般向けのClaudeアプリの設定とは別の仕組みです。

注意点

気をつけたい2つのクセ

手順が多い作業、条件が入り組んだ作業、計算が絡む作業に限った道具だと考えてください。

出てきた答えは、次の3点だけ見直せば十分です。

  • 前提が、こちらの依頼文と合っているか
  • 途中で、別の条件にすり替わっていないか
  • 結論が、最初の質問に答えているか

この見直しは、推論モデルの回答にもそのまま使えます。内側の思考をのぞく必要はありません。表に出てきた説明と根拠を、採点するつもりで読むだけで、おかしなところはかなり見つかります。

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