「A社とB社、どちらがよい?」「いくつかのサービスを同じ条件で比べたい」。そんなとき、Claudeには候補名だけでなく、比較する項目と、自分が譲れない条件を伝えましょう。

Claudeが得意なのは、候補の情報を同じ形に整理し、違いや確認不足を見つけることです。 一方、料金・契約条件・性能を自動的に保証したり、本人に代わって最適な契約先を確定したりするものではありません。

2026年10月12日に確認したAnthropic公式資料をもとに、候補を比較する手順を説明します。仕入先2社の例で、依頼の書き方と判断に迷ったときの直し方を見ていきましょう。

ざっくり言うと

「候補 → 必須条件 → 比較項目と優先順位 → 根拠 → 出力形式」の順で伝えると、判断に使いやすい比較表を作れます。

Claudeに伝えること例目的
候補仕入先A社・B社何を比較するか決める
必須条件1回12個の注文が可能、5営業日以内に納品満たさない候補を先に見つける
比較項目最低注文数・納期・送料・支払方法候補を同じ観点で並べる
優先順位欠品しにくさを価格より重視重視したい差を示す
資料・根拠添付した見積書と取引条件のみ推測と資料に書かれた事実を分ける
回答形式比較表・条件別の向き不向き・要確認事項次に何を判断すべきか分かる

最初から複雑な計算をさせる必要はありません。必須条件に合うか分からない候補は、無理に「1位」にしないことが重要です。

イメージ

1. Claudeで複数の候補を比較する基本手順

通常のチャットに文章を入力するだけで始められます。特別な比較専用機能を使う必要はありません。

  1. Claudeを開き、新しいチャットで比較を始めます。
  2. 比べたい候補を2つ以上挙げます。商品名・サービス名だけでなく、自分の手元の見積書や仕様表を使っても構いません。
  3. 何のために選ぶのかと、外せない条件を先に書きます。
  4. 比較項目と優先順位を示し、表の列を指定します。
  5. 出力を受け取ったら、資料に記載された事実・推測・未確認事項を分けて確認します。

仕入先A社・B社の相談なら、最初は次の指示で十分です。

仕入先A社とB社のどちらを使うか検討しています。

比較項目:最低注文数、納期、送料、支払方法、欠品時の対応。
私の条件:少量注文が多く、価格より欠品しにくさを重視します。

出力:
1. 比較項目をそろえた表
2. A社が向く場合とB社が向く場合
3. まだ確認できていない点

私が示していない料金や条件を、想像で埋めないでください。
候補の情報が足りなければ、比較に必要な資料を先に質問してください。

候補の名前しか渡していない場合、Claudeには実際の取引条件が分かりません。 それでも表が埋まって返ってきたら、事実として採用せず情報源を確認しましょう。

Anthropicのプロンプト設計の公式ガイドも、明確な依頼、背景情報、出力形式、具体例を示す方法を紹介しています。

正確には

2. 「必須条件」と「できれば満たしたい条件」を分ける

候補選びで大切なのは、妥協できない条件と、好みの順番を混同しないことです。

たとえば「月額料金が安いほうがよい」は希望です。一方、「予算の都合で月額1万円を超える契約はできない」は必須条件です。

条件の種類例比較での扱い
必須条件Windowsで使える、月額1万円以内、CSV出力ができるどれか欠ける候補は、原則として不適合または確認待ち
優先順位操作の分かりやすさ → サポート → 料金必須条件を満たした候補の間で比べる
許容できる妥協初期設定に半日かかってもよい許容範囲の理由を残して比較する
未確認事項CSV出力の対象プランが不明「できる」と決めつけず、確認待ちにする

Claudeには次のように伝えます。

次の順序で比較してください。

  1. 必須条件を1つずつ確認し、「適合/不適合/要確認」で判定する。
  2. 必須条件を満たす候補だけを、優先順位に沿って比較する。
  3. 情報が足りない候補を、想像で適合扱いしない。
  4. どの条件が変わると結論が変わるか示す。

必須条件:[ここに記入] 優先順位:[ここに記入] 候補の情報:[ここに記入]

要確認は不適合と同じではありません。 条件を満たすか分からないだけなら、候補を完全に除外せず、判断を保留にします。反対に、価格が安いことを理由に必須条件違反を見逃さないようにしましょう。

3. 実例:仕入先A社とB社を比較してみる

ここでは小さなお店が仕入先を選ぶ場面を使います。以下のA社・B社、数量・料金・納期はすべて説明用の架空データです。実在する会社の条件や、Claudeから実測した回答ではありません。

まず材料をそろえる

お店が決めた条件は、1回12個を注文できること、原則5営業日以内に届くこと。重視する順番は「欠品への対応 → 納期の安定 → 送料」です。

架空の2社から渡された条件表は次のとおりとします。

項目A社の資料B社の資料
最低注文数10個20個
通常の納期3〜5営業日1〜2営業日
1回の送料800円無料
支払方法請求書払いクレジットカード
欠品時の対応記載なし記載なし
返品・交換の条件記載なし記載なし

この表だけから「B社が安くて早いからおすすめ」と決めるのは誤りです。B社は12個の注文という必須条件を満たしていません。A社は記載条件上は候補に残りますが、欠品時の対応はまだ不明です。

Claudeに渡す完成形の指示

以下は架空の仕入先A社・B社の資料です。
私は小さな店舗を運営しており、1回12個の注文を想定しています。

【必須条件】
- 1回12個の注文ができる
- 通常の納期が5営業日以内

【優先順位】
1. 欠品したときの対応
2. 納期の安定
3. 送料

【A社】
最低注文数10個/通常納期3〜5営業日/送料800円/請求書払い
欠品時対応・返品条件は記載なし

【B社】
最低注文数20個/通常納期1〜2営業日/送料無料/カード払い
欠品時対応・返品条件は記載なし

次の順に整理してください。
1. 必須条件への適合を、項目ごとに「適合/不適合/要確認」で判定
2. 比較表
3. 現時点で言えること・言えないこと
4. 結論を決める前に各社へ確認する質問

未記載の条件は推測しないでください。
送料の安さを理由に、必須条件を満たさない候補を最良としないでください。

どんな結果なら役に立つ?

望ましい整理の方向は次のとおりです。これも正しい分類の見本であり、Claudeの実際の返答を保証するものではありません。

判断する点A社B社
12個を注文できるか適合(最低10個)不適合(最低20個)
通常納期5営業日以内記載上は適合(3〜5営業日)記載上は適合(1〜2営業日)
欠品時の対応要確認要確認
今の結論暫定候補。欠品対応などを確認する注文数の条件を見直さない限り候補にできない

「通常納期」は、毎回の納期を保証する約束と同じではありません。A社にも在庫状況・納期の起算日・遅延時の扱いを確認する必要があります。B社に12個注文できる例外があるかもしれませんが、それも資料からは分からないため、先方に確認するまでは適合と書けません。

比較表が完成しても、結論が「今は決められない」になることがあります。それは比較の失敗ではありません。 次に質問すべきことが分かったなら、比較の目的を果たしています。

4. 添付資料だけで比べるときは、根拠の位置も残す

手元の見積書や仕様書は、対応する形式なら比較材料として添付できます。Anthropicのファイルアップロード案内では、PDF・DOCX・CSV・TXTなどへの対応と、チャット欄の「+」から追加する操作が説明されています。送信前に、対応形式や容量の最新条件を確認してください。

  1. 比較に使う資料を、出どころが分かるファイル名にして用意します。
  2. Claudeの入力欄にある「+」→「Add files or photos」などの添付操作、またはドラッグ&ドロップで追加します。表示名は利用環境で異なる場合があります。
  3. 資料に書かれた事実だけで比較すると指示します。
  4. 回答にファイル名・該当ページや見出し・短い根拠を付けてもらい、自分でも原資料を開いて確認します。
添付したA社・B社の資料だけを根拠に、取引条件を比較してください。

比較項目:最低注文数/送料/納期/支払方法/解約・返品条件
出力列:項目/A社/B社/出典(ファイル名と該当箇所)/要確認事項

資料にないことは「記載なし」としてください。
資料内の記載同士が矛盾する場合は、どちらかを勝手に採用せず両方示してください。
ページ番号や見出しが確認できなければ創作せず「位置未確認」としてください。

「資料に書かれていない」ことと「その会社に機能がない」ことは別です。また「0円」「無料」と「資料に送料の記載がない」は違います。Claudeが空欄を自動で「なし」「無料」に置き換えていないか見ましょう。

添付資料に画像や複雑な表がある場合も、すべて正確に読み取れると決めつけないでください。Anthropicは、ファイルの種類によって読み取れる内容が異なると案内しています。金額・日付・条件は元のPDFや契約書に戻って確認します。

5. 比較表は「同じ条件」と「確認待ち」が見える形にする

比較表の列は最初に決められます。たとえば、「観点/A社/B社/根拠/要確認」の5列にすると、事実と空欄を区別しやすくなります。

比べる項目は目的で変わります。

比べる対象比較項目の例見落としやすい条件
仕入先最低注文数、納期、送料、支払い、欠品対応営業日換算、在庫切れ、返品
業務ソフト料金、必要機能、OS対応、データ出力、サポート対象プラン、追加料金、解約後のデータ
外注先提案内容、成果物、納期、修正回数、費用追加作業、保守範囲、権利の扱い
講座・学習サービス内容、学習時間、サポート、費用対象レベル、返金条件、提供期間

条件が違う数字を横並びにしないのも大切です。月額料金と年払いの月額換算、税込・税抜、初期費用込み・別料金などは、まず単位と適用条件をそろえる必要があります。

「サポートがよい」「使いやすい」のような主観的な評価は、一次資料や実際の試用・口コミなど、どの根拠によるものか示します。Claudeが根拠なく5点満点で採点した数字を、客観的な評価として扱わないでください。

点数を付けるなら、必須条件を先に判定し、評価基準と配点を人が決めてからにします。根拠がない項目は点数を保留にし、集計結果だけで最終決定しません。

6. 「おすすめ」の理由と、結論が逆になる条件を聞く

Claudeに1社をおすすめされても、そこで終わりにする必要はありません。結論が逆になる条件を考える質問は、比較の偏りを確かめるのに役立ちます。

今のおすすめについて、次の3つを教えてください。
1. この候補を選ばないほうがよい条件
2. 別の候補が有利になる条件
3. 追加で1つだけ調べるなら、結論を左右する情報は何か

資料で確認できた事実と、推測・仮定を分けてください。

たとえば先ほどの架空の仕入先なら、「1回20個以上注文するようになったら、B社も候補になる」とは言えます。ただし、そうなっても欠品時の対応がよいかは未確認です。条件変更によって「検討対象になり得る」ことと「最良になる」ことを混同しないでください。

ほかにも、次の追質問が使えます。

  • 「A社に決める前に、契約書のどの部分を確認すべき?」
  • 「今回の比較項目は、私の必須条件をすべて含んでいる?」
  • 「もっとも情報不足が大きい項目だけ、質問文を作って」
  • 「条件が変わっても共通して確認すべきリスクを挙げて」

目的は、Claudeに結論を代行させることではなく、自分が納得して選べる材料を増やすことです。

7. 最新の料金・仕様を比べる場合はWeb検索と原資料を使う

料金やプラン、契約条件などは更新されます。Claudeに商品名だけ渡して「2026年10月の正確な料金で比べて」と頼んでも、Web上の最新情報を実際に確認したとは限りません。

AnthropicのWeb検索公式案内では、対応する環境でWeb検索を有効にし、出典リンク付きで回答を得る方法が示されています。ただし、Web検索を使える環境か・その回答で実際に検索したか・引用元の更新日はいつかを確かめましょう。

A社とB社の公開料金・契約期間・解約条件を比較したいです。 可能な場合は各社の公式サイト・公式利用規約を確認してください。

各項目に次を付けてください。

  • 確認できた事実
  • 公式ページURLと確認日
  • 対象となるプラン・国・税の扱い
  • 確認できなかった点

Web検索が使えない場合は、調べたふりをせず、必要な公式資料を教えてください。

引用リンクがあっても確認完了ではありません。 リンク先を開き、料金表と規約のどの部分に条件が書かれているかを確認してください。古いキャンペーンや他国向け価格を、現在の日本での料金と混ぜないことも大切です。

特に契約を伴う比較では、PDFの作成日・契約の適用開始日・改定後の規約などの時点を確認し、別時点の情報を「同じ条件」として並べないようにします。

8. 比較を繰り返すならProjects、長い表の見直しはArtifacts

ProjectsとArtifactsは、比較を続けたり表を直したりするときに役立ちます。ただし、どちらも使わないと比較できないわけではありません。

機能向いている使い方注意点
通常のチャット2〜3候補を一度だけ比較資料・条件をその会話で明示する
Projects数週間かけて候補を追加し、毎回同じ基準で比べる基準と確認済み資料をProject knowledgeやProject instructionsに残す
Artifacts長い比較表・説明文を見ながら部分修正する対応する機能の有効化が必要な場合があり、数字の裏取りは別

同じ条件で比べ続けたい場合

ClaudeのProjects公式ヘルプは、プロジェクト内のProject knowledge(共通の参考資料)とProject instructions(共通の指示)を案内しています。2026年10月12日確認時点では、無料アカウントにもProjectsが提供され、作成上限は5件とされています。

たとえば「会計ソフトの選定」というProjectなら、公式の比較資料、自社の必須条件、評価のルールを登録できます。

このProjectで候補を比較するときは、必ず次の順にしてください。
1. 事前に登録した必須条件への適合判定
2. 比較表(出典・資料の日付付き)
3. 未確認事項と確認先
4. 条件別の向き不向き

確認済み資料にない料金・仕様は補わないでください。
更新した資料は、以前の資料と日付を区別してください。

ただし、別チャットの会話内容が必ず全文引き継がれるという意味ではありません。重要な比較条件と決定理由は、確認済みの資料として保存します。組織で共有する場合は閲覧権限にも注意してください。

比較表を見ながら直したい場合

Artifactsの公式ヘルプでは、まとまったMarkdown文書などを別の画面で編集する機能が説明されています。対応環境では、Artifact内の文章を選んで「Edit with Claude」で部分修正できます。

現在のArtifacts公式ヘルプでは、クラウド上のコード実行・ファイル作成を有効にする必要があります。設定では「Cloud code execution and file creation」を目印にしてください。メニューが見当たらない場合は、利用中のプラン・組織設定・画面を確認してください。また、文章の編集やファイル保存と、取引条件の真偽の確認は別の作業です。

9. 比較がおかしいときの直し方と、最終チェック

Claudeの表が見やすくても、比較軸や条件を取り違えていることがあります。まず次のように修正します。

困った結果次に送る指示
「おすすめ」だけ返ってくる「理由の前に、候補ごとの必須条件判定を示して」
無関係な項目が多い「私が指定した比較項目を優先し、補足項目は別にして」
料金が勝手に埋まっている「確認できない価格を削除し、根拠と確認先を示して」
資料によって条件が違う「どの資料の何日付の条件か分けて。新旧を自動で統合しないで」
結論が1社に偏る「A社を避ける条件と、B社が有利になる条件も挙げて」
点数の根拠がない「配点を外して事実だけを整理して。採点の前提を質問して」
長文すぎて読みにくい「結論・必須条件表・要確認事項を先に。説明は各候補3行以内に」

最後は、自分で次の順に確認します。

  1. 必要な候補がそろっているか。 比較漏れや名前の取り違いがないか。
  2. 必須条件を先に見たか。 条件を満たさない候補が、安さや評価点で1位になっていないか。
  3. 数値の単位・時点は合っているか。 円/月と円/年、税込/税抜、営業日/暦日などが混ざっていないか。
  4. 根拠を開いて確かめたか。Claudeの引用・ページ番号・説明が元資料と合っているか。
  5. 未確認事項を残したか。 空欄を無料・非対応・問題なしなどに変えていないか。
  6. 判断を自分で確定するか。 契約・購入前に、相手への確認や最新の正式条件の照合が終わっているか。

仕事の見積書・顧客情報・非公開資料を比較に使う場合は、入力前に利用権限とデータの扱いを確認してください。 氏名、住所、未公開の価格など、比較に不要な情報は伏せるか架空のものに置き換えてください。Anthropicのプライバシー案内では、機密情報の共有に注意するよう案内しています。

Claudeの回答そのものにも誤りは起こり得ます。 誤情報の公式ヘルプでは、もっともらしい引用にも誤りがあると説明しています。

よくある質問

やってみよう

判断クイズ

第1問

毎月12個ほど仕入れる店が、最低注文数20個のB社を検討しています。最初にする判断として適切なのはどれ?

  • A. 送料無料だからB社を最優先にする
  • B. 必須条件の12個注文に合わないので、不適合と判断する。例外があるかは別途確認する
  • C. Claudeのおすすめに入っていれば適合していると考える

第2問

見積書に送料の記載がありません。Claudeの比較表ではどう扱う?

  • A. 無料と書く
  • B. 有料と決めて、平均送料を仮入力する
  • C. 「記載なし・要確認」とし、確認先を示す

第3問

Claudeが「A社がおすすめ」と答えたあと、比較を深めるのに役立つ追加質問はどれ?

  • A. 「A社が向かない条件と、B社が有利になる条件を教えて。根拠も分けて」
  • B. 「A社が絶対に正しいと宣言して」
  • C. 「比較資料を見ずに点数をつけて」

あわせて読みたい

締めに

まとめ

Claudeで複数の候補を比べるときは、比較項目を並べる前に、自分の必須条件を伝えましょう。 次に、優先順位、資料の根拠、答えの形式を指定します。表ができたら、不明な点や条件の違いを確認し、必要なら「結論が逆になる条件」を追加で聞きます。

「どちらがよいか」だけでなく、「何が分かっていて、何を確かめれば決められるか」が見えることが、実用的な比較のゴールです。