LORE

九十九の鳥居の物語

夜の坂道に続く鳥居と、一つだけ灯る提灯

第一章 迷い道の提灯

人の世のはずれ、月が少しだけ近く見える坂道に、一つだけ消えない提灯がある。その提灯を追いかけた者だけが、朝の来ない夜市にたどり着く。こまりは、その提灯の番をしている狐だった。番といっても、たまに居眠りをする。

りんご飴を両手で持つ宵灯こまり

第二章 りんご飴の約束

夜市の屋台は、買い物をするためだけの場所ではない。迷い込んだ子どもに、店主たちは声をかけ、りんご飴を一本持たせて帰り道を教える。こまりが最初にもらったのもりんご飴だった。以来、りんご飴を食べると、なんでもできる気がしている。

射的を真剣に狙う宵灯こまり

第三章 百発百中の射的

狐社で育ったこまりは、射的が得意だ。でも狙いました、と言って外す夜もある。外れた景品は、別のだれかの手に渡って、夜市に新しい笑い声が増える。こまりは、それでいいと思っている。

狐社の縁側に座る宵灯こまりとぽわ

第四章 狐社の縁側

お祭りが静かになるころ、こまりは縁側に機材を並べる。夜市の店主が「これ、使えるんじゃないか」とくれたマイクと、ぽわの灯り。歌声も笑い声も、九十九の鳥居を越えて、あなたのいる部屋まで届く。2025年2月2日、その最初の夜。

狐火が舞う九十九夜市の夜空

第五章 九十九本目の先

最後の鳥居は、入るためだけにあるのではない。夜市で過ごしただれもが、次の夜にもう一度こられるように。だからこまりは今夜も、提灯を灯して待っている。